和泉守兼定

 東京ドームから10分程歩くと、伝通院があります。

 伝通院は、家康の生母お大や徳川秀忠の長女で豊臣秀頼の妻、千姫が眠る場所です。

 さらに、ここは新選組が結成され、京都に上った場所でもあります。

 伝通院から、近藤や沖田、斎藤、永倉、そして鬼の副長土方が京都を目指しました。

 「土方さんは、坂本龍馬のように大きな未来を描けるような人ではなかった。忠義を尽くすことに全霊を注ぎ、それを周囲にも強く求めた。規律に厳しく融通もきかない。それに命を懸けた人だ。でも、そんな土方さんを俺は好きだった。だから俺は俺の忠義を尽くす。」

 『刀剣乱舞活劇』土方の愛刀、和泉守兼定の言葉です。

 後世に語られる土方の写真、そこで差している刀が和泉守兼定です。

 『竜馬がゆく』を読むと新選組は憎き相手ですが、『燃えよ剣』を読むと新選組には新選組の正義があることを理解することが出来ます。

 新選組は戊辰戦争において、幕府が負ける為の象徴のように勝ち目のない戦にばかり挑まされます。

 幕府は早く戦争を止める為の道具として、新選組を利用します。

 正義であったはずの幕府や新選組が瞬く間に悪にされてしまい、その悲惨さの中でも忠義の為戦う姿に哀愁を感じ、新選組、そして土方に心惹かれていきます。

 函館戦争にて死を覚悟した土方は、和泉守兼定を故郷に届けます。

 死体も確認されず、どのように戦死したのかもわからない土方。その最期は、どこか信長に通ずる所があります。

 それでも、土方とともに波乱の時代をかけ抜けた愛刀は今も生きています。

 私は、土方は最後は幕府の為ではなく、新選組の為に戦い続けたと感じています。戦い続ける最後の剣客集団として戦いの中で散る、それが土方の新選組への思いであり、それを後世に語り継いでもらう為に、愛刀を故郷に送ったのではないでしょうか。

 150年以上経過し、刀剣女子達により、土方の思いは叶えられていると考えると、浪漫を感じます。