「何故私が土方派か、わかりますか?」
「…さあな。」
「私が土方さんを貴重な人だと思ってるからですよ。」
「きちょう?奇妙の間違いじゃねーのか。」
「ふふ。確かに正道からは外れてますね。その意味で、近藤さんや芹沢さんの士道に懸ける姿は凄まじい。間違いなく尊敬に値します。しかし、それは先人が作った様式美ですよね。土方さんには、どういう訳か、土方さんだけの哲学と信念がある。多くの人が持ち合わせてないんですよ。昔からあるものを何も考えずに信じる方が簡単ですから。そもそも、ふつうは疑問なんて抱きません。」
「私はね、土方さん。あなたの作る国が見たいんですよ。」
「でけー話だな。」
「言わば私の為ですね。だから、土方派なんです。」
『青のミブロ』沖田総司と土方歳三の会話です。
昨日、富士急ハイランドに行ってきました。
富士急ハイランドに行くのは、幼き頃に親に1回連れて行って貰ったのと、中学1年生の時に「FUJIYAMA」にどうしても乗りたくて友達と一緒に行った振りでした。
私は、時折都内を富士急のペインティングがされたバスが走るのを見たり、富士急行きの高速バスが走るのを見て「東京からわざわざ富士急に行くかな?」と疑問を抱いていました。
昨日、その疑問は解けました。
富士急は、絶叫に全振りする事で、他の遊園地にはない地位を築いていました。
トーマスランドを除けば、アトラクションのほぼ全てが絶叫もの。
キングオブコースター「FUJIYAMA」等のジェットコースターは勿論ですが、空中ブランコの異常な高さ等、絶叫好きにとっては富士急は間違いなく日本一楽しむ事が出来る遊園地です。
作り出す世界観や懸けるお金では、ディズニーやユニバーサルと戦う事は出来ません。
そこで、富士急は絶叫に全振りするという独自の戦い方で挑み、唯一無二の地位を築いたのかと関心しました。
私が、中1で行った時には「FUJIYAMA」はあったものの、絶叫に全振りではなく、よくある様々なアトラクションがある遊園地といった印象であった為、昨日は富士急の20年の歴史と覚悟を感じる事が出来た1日でした。
強者や先人と同じ舞台で闘う必要等ありません。自分が勝負し勝てる舞台で闘う。
そうする事で、強者にも先人にも経済的に劣っていたとしても、勝負する事が出来るのです。
また、トーマスランドが作る世界観も素晴らしかったです。
遊園地全てをディズニーやユニバーサルのような世界観にする事は困難でも、トーマスランドのみをトーマスの世界観にする事は可能です。
絶叫のターゲットは若者です。
しかし、若者だけでは収益を挙げる事は困難です。
そこで、子ども連れは、トーマスランドで楽しんで貰うという富士急の戦略も素晴らしいと感じました。
富士急のお土産は買わずとも、トーマスのお土産を買ったり、高価であっても親はトーマスレストランでトーマスの食事を子どもに食べさせてあげたくなるものです。
さらに、東武動物公園同様、漫画・アニメとのコラボに積極的な所も、地方の遊園地が生き残る生命線です。
信者は、推しの為であれば、全国どこからでも駆けつけ、推しの為であれば、生活費を削ってでもグッズを購入します。
10月1日までコラボしている『ミュージカル刀剣乱舞』の信者達も、絶叫目当ての若者とトーマスランド目当てのファミリー層の中に、きちんといました。
カフェにて、コラボフードを1,600円以上購入するとランダムでプロマイドがランダムでプレゼントされる中、私の前の信者は1人で1,700円のパンケーキセットを3つ頼んでいました。
これが、推し事(お仕事)です。
アメリカの上場企業においては、役員に黒人や女性、LGBTの人がいない会社の業績は落ちていくとされています。
昨日の富士急には、絶叫目当ての若者、トーマス目当てファミリー層、そして、推し事をしにきている信者達。
まさに、多様性がありました。
多様性という意味でも、富士急は、ディズニーやユニバーサルにも引けを取りません。
「総司、お前はどうする?」
「私はもちろん、あなたが決断した時から行き先は同じに決まってますよ。私は、議論はしませんから。」
『青のミブロ』土方と沖田の会話です。
推し事に、議論は必要ありません。