壊れた男を修正するより、たくましい子どもを育てる方が簡単だ

 

 「子ども達に魔法が見えるのは、それを探しているからだ。」

 クリストファー・ムーアの言葉です。

 

 人の心の働きは、生まれた後、どのような過程を経て、大人の心に成長していくのでしょうか?

 スイスの心理学者ピアジェは「児童心理学」と呼ばれる分野の研究を始めた1人です。

 ピアジェは、自分の3人の子を注意深く観察しました。

 そして、赤ちゃんから大人に至るまでの心の発達には、4つの段階があると提言します。

 

  ①感覚運動期

  ②前操作期

  ③具体的操作期

  ④形式的操作期

 

 ①感覚運動期は、0~2歳の身体を動かしながら、外の世界の仕組みを探る段階です。

 この段階で獲得する概念の1つが「物の永続性」です。

 物の永続性とは、物体が視界から消えても、まだ存在し続けているはずだと考える事を意味します。

 赤ちゃんに「いないいないばぁ」をすると喜ぶのは、物の永続性が獲得されておらず、存在していたはずの顔が本当になくなってしまったり、また現れたりするように感じるからかもしれません。

 

 ②前操作期は、2~7歳の言葉を覚え、ごっこ遊びがみられる段階です。

 この段階を終える頃には、自分の視点しか知らない自分中心の世界を脱して、他者からの視点も理解出来るようになります。

 

 ③具体的操作期は、7~12歳の論理的な思考をし始める段階です。

 ピアジェは、論理的な思考の事を「操作」と表現しました。

 この段階では、容器に入った水を別の容器に移し替えても水の量は変わらないといった論理的な思考が出来るようになります。

 

 ④形式的操作期は、12歳~15歳のより抽象的な物事についても、論理的な思考が出来るようになる時期です。

 この段階に達すると、知能発達は概ね完成の段階に達します。

 

 ピアジェは、この4つの段階を1つずつ進み、大人と同等の思考が出来るようになるのが心の発達であると考えました。

 

 

 私の持論では、大人になっても、否、大人になったからなのか、③具体的操作しか出来ない人が多い印象です。

 あなたにも、あなたの周りにも、思い浮かぶ場面や人がいるのではないでしょうか?

 

 長く使われている理論は、その対象だけでなく、汎用性が高いものです。

 ピアジェの理論も、子どもは勿論、大人にも活用する事が出来ます。