大事なことを思い出した。大切な人の記憶が蘇った。これから、僕が相手にするのは空気だ

 

 …大事なことを思い出した。大切な人の記憶が蘇った。これから、僕が相手をするのは空気だ…

 …もう無視なんかさせない。見て見ぬフリなんかさせない。出来ないくらいに、みんなの記憶に刻み付けてやる。もう空気なんて読んでやるか。バカバカしい…

 「よいかお前ら、よく聞け。2年1組出席番号1番梓川咲太は、3年1組桜島麻衣先輩のことが、桜島麻衣さんのことが、好きだー。麻衣さん、好きだぁー」

 『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』梓川咲太の脳内言葉と告白の言葉です。

 

 

 ジャニーズの性加害問題を、皆さんは、どのように感じているでしょうか?

 性加害問題がいけない事は百も承知ですが、果たして問題はそこだけなのでしょうか?

 吉本の時もそうでしたが、これまで王者に君臨していた人や組織が失敗や間違いを犯すと、一斉にスケープゴートのように叩くマスコミには嫌気がさします。

 マスコミも一緒に隠蔽していた事は、一定の知能がある人であれば、理解出来るはずです。

 

 

 佐賀に行って驚いた事の1つに、秀吉にちなんだ御土産が複数販売されていた事です。

 秀吉は、日本史上初めて九州平定を果たし、現在の佐賀県東松浦半島の一角に朝鮮半島を攻める為の拠点となる名護屋城を築城しました。

 天下統一を果たした秀吉の命により、徳川家康・上杉景勝・伊達政宗等、秀吉と敵対していた武将を含めた日本全国の武将が名護屋城に召集されました。

 名護屋城とその城下は、7年に渡り、派遣軍20万人・在陣軍10万、計30万人にも上る兵士の出航・帰国・在居の場所となりました。

 しかし、秀吉の目論見とは異なり、朝鮮出兵は苦戦を強いられます。結果だけをみれば、

 

 その中で、秀吉も老いていき、家臣の進言に聞く耳を持たず、戦略等ではなく1人の老いた男の頑固さのみで、無謀な戦は続いていきます。

 家康を始めとした武将達も秀吉を恐れ、秀吉が死ぬまで我慢するしかないと腹を括っていました。

 秀吉の死後、すぐに朝鮮出兵はとりやめられ、その後、天下統一を果たした家康の手により、名護屋城も廃城となります。

 結果だけをみれば、7年もの年月を費やした朝鮮出兵において、得られた成果は1つもありませんでした。

 このような秀吉と佐賀県との所縁から、現在でも佐賀では秀吉にちなんだ御土産が販売されています。

 

 

 ところで、この現象、何かに似ていると思いませんか?

 そうです。ジャニーズ性加害問題と、そっくりなのです。

 秀吉やジャニーさんという天下人が生きている間は、空気を読み続け問題を見て見ぬふりをし続け、天下人が死んだ後に問題を浮彫りにする。

 

 空気を読む事を意識するあまり、言いたい事も言えず、他人に合わせるだけとなり、ストレスや苦痛を感じている人も多いのではないでしょうか?

 日本人が大切にしてきた空気を読むという世界観は、本来、安全で円滑な人間関係を作る為のものです。

 言葉の裏に隠れた相手の繊細な思いや希望を汲み取る事が、空気を読む事の正しい使い方です。

 実際に1カ月程、アフリカやインドを旅をしてみて下さい。日本に帰国すると、日本人の空気を読む素晴らしさに感動すら覚えるでしょう。

 

 これに対し、欧米人は、人はそれぞれ違うのだから言わなければわからないという自分軸で生きているという世界観を持っています。

 彼ら彼女らは、空気を読む事ではなく、言葉を信じているのです。

 

 どちらが正しいという事でもなく、これは国民性の問題です。

 日本人が相手を尊重する事で信頼関係を築くのに対し、欧米人は相手との違いを認める事で信頼関係を築きます。

 

 

 昭和の時代までは、縦社会で親や教師・上司の空気を読み、言われた事だけをやっていれば、学校や会社に所属する事が出来、給料も右肩上がりでした。

 そのような時代においては、空気を読む事が、殆どの場面において正解だったのかもしれません。

 しかし、現代は、終身雇用も崩壊し、給料が右肩上がり等昔話となり、さらに、結婚をし子どもを産む事が幸せという価値観の強制も通用しない時代となっています。

 

 このような時代においては、これまで通りの空気を読むという処世術だけでは、生きていく事は出来ても、幸せに生きていく事は出来ません。

 私は、空気を読むという定義自体を、現代に合わせた定義にアップデートする事が必要であると考えています。