奇想の系譜

 最近少しずつ個人が注目される時代になってきました。  退屈な大企業の社長より、起業家の方が話も人生も楽しいものです。  遥か昔江戸時代は、生まれからほぼゴールが決まっていました。  これは武士や農民だけの話ではなく、画家にとっても当てはまりました。  狩野派に代表されるような派閥に生まれるか、所属することでしか評価はされず、語り継がれることもありませんでした。  この傾向は、わずか数年程前まで続きます。  たしかに、教科書でも狩野派や雪舟等は取り上げられても伊藤若冲は取り上げられません。  しかし、時代が変わり、派閥や生まれではなく、純粋に作品を評価することができるようになってきました。  否、時代が若冲や歌川国芳、岩佐又兵衛に追いついてきたのかもしれません。  現在上野東京都美術館で展覧されている奇想の系譜には、名門に生まれるわけでもなく、派閥に所属するわけでもなく、文字通り筆1本で勝負をしてきた画家達の作品が取り上げられています。