妻でも母親でもないサチコだったあの頃‥楽しかったなぁ

 

 「あの頃さぁ一緒に死のうなんて中二病みたいなこと言ってたよね。ほんと楽しかったなぁ…」

 「そんなこと言ってたっけ?やばいね。当時のあたしら。死ぬとか言って、結局二人ともバリバリ生きてるし。結婚して子供までいるし。人生わかんないね~。」

 「そういや、エミーは結婚は?」

 「…あたしはずっと独身。なんか…サチコすごいな…あたしには結婚とか…出産とか…違う世界の話って感じ…」

 「全然大したことないよ。成り行きでこうなったっていうか…あたしも自分が結婚するなんて思わなかったし。」

 

 「いいなー。旦那さんと子供がいるって。なんか人生安心できそう。あたしなんか、このままいったら孤独死だよ。」

 「あたしからしたら、エミーこそ自由でうらやましいよ。旦那は最近毎日飲み歩いているし、子供達は反抗期で、将来ママみたいにはなりたくないとか言い出して…。妻でも母親でもないサチコだったあの頃…楽しかったなぁ…」

 『明日、私は誰かの彼女』エミとサチコの会話です。

 

 

 保育の心理学の教科書には、親となる事で、視野が拡がり、多角的なものの見方が出来るようになると書かれています。

 勿論、そのような一面もあります。

 しかし、本当に子どもを持つ事で多角的なものの見方が出来るようになるのでしょうか?

 

 私には、子どもを持つ事で、本を読む事も、アニメを観る事も、ゆっくり食事を楽しみ事も出来なくなる為、多角的なものの見方が出来なくなってしまうと思う一面があります。

 また、ベビーカーを使用する事により、行く場所がかなり限定されてしまう為、映画を観たり、舞台を観たり、ミュージカルを観たり等、新しい経験をする事も困難となります。

 

 NHKが6,500人の母親を対象にした調査では、3人に1人が母親にならなければ良かったと思った事があると答えました。

 この問題が複雑極まりない事は、そう答えた母親の96%が、子どもに愛情を持っていると答えた事です。

 

 子どもを持つ事により、プラスになる事ばかりを言うのではなく、マイナスになる事も言う事が出来る社会を作っていきたいです。

 マイナスな事を言う事が=子どもが可愛くないという事ではありません。

 

 母親でも父親でもない、あなたでいる事が出来る時間。

 そんな時間を作っていく事が、精神的に余裕を持った子育てに繋がり、それが子どもの為にもなるとも確信しています。