「一騎当千の猛者か。確かに、居るよね。清国の昔話に出てくる一人で、本当に千人を倒す様な化物じゃなくて、その者が現れると、味方千人が奮い立ち、敵方千人が恐れ慄く‥そういう意味での一騎当千。」
「例えば、新選組の近藤局長・土方副長。長州の高杉晋作。薩摩の西郷隆盛。」
『るろうに剣心ー北海道辺ー』永倉新八の言葉です。
「そして、セルヒオ・ラモスも、今季限りでの退団が決まっています。彼が注ぎ込んだキャプテンシー、それからポジティブな空気というのは、間違いなくパリが苦しんでいた時期に活かされていたと思います。」
パリでのラストマッチを迎えた、セルヒオ・ラモスに贈った西さんの言葉です。
「土方さんは、坂本龍馬のように大きな未来を描けるような人ではなかった。忠義を尽くすことに全霊を注ぎ、それを周囲にも強く求めた。規律に厳しく融通もきかない。それに命を懸けた人だ。でも、そんな土方さんを俺は好きだった。だから俺は、俺の忠義を尽くす。」
『刀剣乱舞』和泉守兼定の言葉です。
EURO2024は、スペインの優勝で幕を閉じました。
チャンピオンズリーグもそうでしたが、私の感想は、物足りないというものです。
そこには、その者が現れると、味方千人が奮い立ち、敵方千人が恐れ慄くような一騎当千の猛者も、忠義を尽くす事に全霊を注ぎ、それに命を懸けた男の姿もなかったからです。
「だが、その提案は却下だ。たしかに、儂等(わしら)が手掛ければ、軍の下、訓練や演習で強兵を育成するは、まこと容易い。だが、それでは、其処では猛者は決して育たぬ。人が猛者に成るに何より必要なのは、何事にも屈せぬ強靭な魂。そして、それは地獄でのみ育まれるー。」
「此処に集いし貴様達が、まさにそうだろう?各々が各々の、地獄を巡る中で、強靭な魂を得て、一騎当千の猛者と成った。」
「望まぬ闘争。叶わぬ理想‥。強靭な魂とは、それらを糧として育つ。不条理。理不尽。そして、死‥。地獄の産物なのだ。」
『るろうに剣心ー北海道辺ー』凍座の言葉です。
私は、学生時代から、頭が働かない指導者と何度もぶつかり、時には、現在では問題となるのではないかという経験もしてきました。
あれから時が過ぎ、現代においては、指導の名の下に行うパワハラや暴力等も、禁じられており、殆ど見られなくなっています。
これは、素晴らしい事であると思います。
ただ、その理不尽に立ち向かい「殺してやる」程の殺気を、ピッチ上で表現する事が出来る機会は、なくなってしまいました。
私は、業突く張り(ごうつくばり)かも、しれません。
自分や家族には、地獄を巡ってほしくないと願っています。
しかし、その一方で、一騎当千の猛者になる為には、地獄を巡る経験が必要であると考えています。
フットボールの醍醐味とは、どれだけ屈辱的な敗北をしても、どれだけ痛烈な批判をされても、どれだけの裏切りにあっても、その数日後には何食わぬ顔でピッチに現れ、そのプレイで、そして、その存在感で、世界中を黙らせる男達の生き様を観る事であると、私は思っています。
そこには、フットボール以上の「人生」が詰まっています。
それには、時代遅れかもしれませんが、一騎当千の猛者の存在が欠かせないと、私は思っています。