…凡人は何も成し遂げなかった…
「エルヴィン‥団長をやってくれるか?」
…特別な人間はいる。ただそれが、自分ではなかったというだけのこと。たったそれだけのことに気付くのに、大勢の仲間を殺してしまった…
『進撃の巨人』キースの脳内言葉です。
25歳のアイザック・ニュートンが、自分が余暇を利用して行った研究を教授のアイザック・バローに全て見せました。
ニュートンの研究を見たバローは、その場で自らの職を辞して、教え子であるニュートンを後任に指名しました。
研究者は誰もが、自分の専門分野の有名なジャーナルに論文を発表する事を目標にしています。
しかし、多くの場合、論文を掲載するかどうかを決めるのは、ほんの2、3人の研究者達です。
仮に、若い研究者が、その分野全体の常識を覆し、それまで玉座にいた研究者達の地位を失墜させるような論文を送ってきたら、彼ら彼女らはどうするでしょうか?
玉座にいる研究者達は、その若い研究者の論文を激しく批判する事でしょう。
このような現象を心理学では「社会的比較バイアス」と呼びます。
社会的比較バイアスは、研究者の間だけではなく、仕事間での上司・部下、スポーツにおけるチームメイト、友人間に至るまで、ありとあらゆる場所において生じます。
Aクラスのレベルの人は、Aプラスのレベルの人を採用しようとします。
つまり、自分より、優秀な人を雇おうとします。
しかし、Bクラスの人はCクラスの人を、Cクラスの人はDクラスの人を雇おうとします。
こうすると結局、その会社は数年後には、Dクラス以下の人で溢れ、生き残る事が出来なくなってしまいます。
人を雇う時には、自分より優秀な人を雇いましょう。
そうでなければ、あなたの会社には、能力の低い人しかいなくなってしまいます。
その上、能力の低い人は、自分の能力の程度を認識出来ないという思考の誤り(ダニング・クルーガー効果)も生じる事が多い為、再起を図る事は困難を極めます。
先のニューロンの話を思い出してみてください。
あなたは、他に自分より適任者がいるという理由で、教授が自ら辞職したという話を聞いた事があるでしょうか?
社員の中に、自分より経営者としての素質があるという理由で、自らCEOの職を辞したという話を聞いた事があるでしょうか?
自分より、優れた才能を持った人をみると、その人の不幸を願う気持ちは理解出来ます。
しかし、それでも、自分より優れた才能を持った人を、支援しましょう。
その時点では、自分の地位が脅かされるように感じるかもしれませんが、長い目でみれば、その支援は必ずプラスに繋がります。
優秀な人は、あなたが少し邪魔をした所で、いずれあなたを追い越していきます。
だから、それまでの間は、彼ら彼女らと良い関係を築き、彼ら彼女らから学んだ方が、あなたにとってプラスです。
世の中は、頭の良い人には生きづらく構築されています。
頭の良い彼ら彼女らも、その頭の良さから、敵対視されたり、同調圧力に苦しんだり、感情論を振りかざす年配の人達に、苦しんでいます。
そんな中、あなたから手を差し伸べられたら、彼ら彼女らは、その恩を忘れない事でしょう。
ニュートンの教授のように、自分より優れた才能を持つ人を支援する事は、社会貢献でもあると感じています。