「金を掘ったヤツに、金持ちはいない。」
「つまり‥良い株を探すことは、金を掘ることと同じ‥。」
「そうだ。円安で輸出関連が上昇する。値上がりをもっと見込んで買いに走る。しかし、スコップを担いで山に登ったのでは、もう遅い。良質な鉱脈は、すでに掘り尽くされているのだ。円安による輸出好調で、一番儲けたヤツは誰か?」
「それは、円高の時に輸出関連を買ってたヤツ。つまり、円高で不振の輸出株がボロ株と言われ、誰も見向きもしない時、そのボロ株を買い込んでせっせと仕込んでたヤツ。西海岸は近い将来、飛躍的に発達すると確信を持って、鉄道を敷いた人が莫大な利益を手にできたのと同じだ。」
『インベスターZ』神代と財前の会話、そして、神代の言葉です。
4月4日7時30分のドル円相場は、1ドル=151,615です。
2年前は1ドル=115円で円安と騒がれ、1年前は1ドル=130円で円安と騒がれていましたが、現在の相場は上記の通りとなっています。
あなたは、円安派でしょうか?
それとも、円高派でしょうか?
私は、円安派です。
円安とは、日本のバーゲンセールと表現する事も出来ます。
アメリカから旅行に来た人が、1ドルで飲み物を買おうとした場合、2年前にはコンビニで缶コーヒーしか買えませんでしたが、現在は好きなペットボトル飲料を買う事が出来ます。
会社として円安のメリット・デメリットを考えてみましょう。
円安のメリットを受けるのは、大企業です。
海外への輸出を主な稼ぎとしている大企業は、円安のメリットを大きく受けます。
トヨタがアメリカで3万ドルで車を販売する場合、1ドル=115円であれば、日本円に換算すると、3,450,000円の売上になります。
これが、1ドル=151円であれば、4,530,000円の売上になります。
同じ車を売ったにも関わらず、為替が変わるだけで、1,080,000円も、売り上げに差異が生じるのです。
翻せば、大企業を中心とした株価の上昇は、企業の実力ではなく、円安による恩恵を受けているだけであると捉える事が出来ます。
会社単位で見た場合、円安で恩恵を受けるのは、大企業に限られます。
では、多くの中小企業はどうでしょう?
円安は、多くの中小企業にとって、デメリットとして働きます。
商品の仕入れを輸入に頼っていたり、日本国内にだけマーケットを向けている中小企業は、円安により、仕入れる商品の値段が上がる事で、損失を被ります。
これにより、小売業(スーパー・コンビニ・百貨店等)飲食店は、商品の値段を上げざるを得ない状況となります。
10,000ドルで野菜・肉等を海外から購入していた小売業は、1ドル=115円の場合、115,000円で購入する事が出来ていました。
しかし、1ドル=151円の場合、同じ商品を購入しても、151,000円で購入する事になってしまうのです。
同じ商品を購入しているのにも関わらず、為替の影響で、360,000円の損失が出てしまうのです。
では、個人の場合は、どうでしょうか?
円安のメリットを受ける人は、大企業に勤めている人・観光業等顧客の中心が外国人である産業に勤めている人、そして、ドルの資産を持っている人です。
円安のデメリットを受ける人は、上記以外の全ての人です。
円安により、ガソリン等のエネルギー関連・食品等、購入する殆どの物の値段が上昇するからです。
このような理論を説明すると、大衆受けが良いのは、円高派となります。
その為、大衆からの評判を得たい経済評論家等は、円高派の方が多いです。
しかし、バブル崩壊後からの「失われた30年」のドル円相場を見て下さい。
見事に、日本が不景気=円高である事が、確認出来ます。
逆に、日本企業が世界のベスト10に並んでいた時代は、円安であった事が確認出来ます。
私も、大企業が円安の影響のみで成果を上げ、大企業で働く人や公務員ばかりが、給料が上がる現状には納得出来ない部分が多々ありますが、日本をマクロな視点で見た時、まずは大企業に潤って貰う必要があります。
経済の本質とは「上から下にお金が流れる」という事です。
まあ、公務員が多くの給料を貰っている事は意味不明ですが…。
まずは、大企業に円安を追い風に稼いで貰い、日本全体の競争力を上げていく。
日本が魅力的だから海外から観光客が来ている等とも言われますが、その状況を上手く利用し、円安の恩恵を受け、稼ぎながら、実力を上げていけばいいのです。
そして、これからの時代は、円安でも、円高でも、個人が生き抜く事が出来る経済戦略が必要となります。
現在の「超ゆとり世代」の高齢者のように、現在の「働く世代」は、国に頼ってはいられない世代です。
大企業に就職する必要はありませんが、勉強をし、ドルの資産を持つ。
直接外国人向けのお店を開く必要はありませんが、勉強をし、メルカリ等でアニメグッズ等を日本円で仕入れ、海外のアニメファン向けに購入金額よりも高値で売る。
個人でも、出来る事は、あります。
これからは、自分や、自分の大切な人の資産は、自分で守っていく時代です。