常識という餌をバラ撒けば、大衆はワンサカ食いついてくる。食いついた魚は、片っ端から釣りあげられ、商売の材料にされるのさ。もっと先を読めば、その常識をバラ撒いたヤツがいる。その常識で一儲けを企む国や企業だ4

 

 「保険は、早く入れば入るほど、お得なんです。歳をとってからだと、入りたくても入れない場合があるんです。」

 「やはり、保険は早いうちに入った方がいいんでしょうか?」

 「そうですとも。早く入れば、そのぶんお得なんです。」

 

 …あれお母さん‥早くもおばさんの側に取り込まれてるよ。お母さん、素直すぎるんだよなあ。でも、普通はみんなきっとこうなんだろう…

 …保険の外交員は、あの手この手いろんな武器を準備してる。一般の顧客は、保険の知識はゼロに等しいから、丸裸同然。これは戦にならない…

 

 「ちょっと待って下さい。今のお話は、おかしいですよ。」

 「え‥なにが?」

 「だってさっきまでは入るか入らないかの話をしていたのに、いつに間にか入ることを前提に話をしてるでしょ。」

 「あ‥そういえば‥。」

 

 「おかしいですよね。保険に入るとは、まだ一言も言っていないのに、若いうちに入るとお得とか、歳をとったら入れないこともあるとか、保険にいつ入るかの話に取って代わっている。これって完全に論点のすり替えじゃないですか?」

 『インベスターZ』保険のおばちゃんと財前母の会話、財前の脳内言葉、財前と財前母の会話、そして、財前の言葉です。

貯金は三角、保険は四角」のカラクリ』インベスターZ【三田紀房 ...

 

 

 

 

 私自身、会社を起業して1・2年後の2016年に保険の営業を数多く受けました。

 まだ、FXをやり始めた位の私は、保険に関しても素人同然でした。

 毎週のように高級お菓子を持って、ブログの感想を伝えてくれる保険会社の方に好印象を抱き、会社としても個人としても複数の保険に加入しました。

 

 保険を入口として経済に関して興味を抱き、勉強と行動を重ねる事で、これまでより見える世界が拡がった為、その点は感謝をしていますが、それでも「お金を増やす方法は保険ではない」という事や「仮に経営者自身が病気になったとしても、世界最強の日本の社会保険で補う事が出来る」等の情報を提供せずに、不安を煽り、好意を抱かせる事で保険加入に繋げる保険会社の手法には、疑問を抱いています。

 事実、保険に加入するまでは、毎週のように高級お菓子を持参し会社を訪問してきていた保険会社の課長はすぐに転勤をし、後を引き継いだという保険のセールスレディ達は10人近く担当が変わり、保険加入後は高級お菓子の持参も、訪問される事もなくなりました。

 

 売ったら、それ以降は何もしない。

 売るまでに保険の巧妙な手口がバレなければ、その後は毎月自分達には手数料が入る為、お客様の事等どうでもいい。

 

 保険会社の人達が、どのように考えているのかはわかりませんが、保険加入後の対応を観察していると、保険加入者が上記のように感じる事も、当然の気持ちではないでしょうか?

 

 

 

 生命保険に加入したくなる理由を考えていきましょう。

 生命保険は、保険加入者が死亡または病気や事故で入院した時等の際に、役立つ商品です。

 亡くなる・病気になる等、本人や家族にとって、精神的にも身体的にも、大きなダメージを受けた時に必要となります。

 

 保険に加入したくなる心理が高まるのは、上記のような「リスク」を身近に感じた時です。

 たとえば、親戚や家族が亡くなったり、病気になった時です。

 保険会社は、ここを熟知しており、葬儀会社の中にも保険のおばちゃんが存在している為、間違っても葬儀の直後に保険には加入しないように気をつけましょう。

 

 

 数学の分野に「確率加重関数」という概念があります。

 「確率加重関数」とは、実際に起こる確率が小さい時には起こる確率を過大評価され、実際以上に高い確率で評価されるというものです。

 逆に、実際の確率が50%以上になると過小評価され、実際以上に低い確率で感じられます。

 

行動経済学】プロスペクト理論とは?例を使ってわかりやすく解説! - ふとん大学。

 

 この乖離は、確立が0%や100%等の数値の近辺で、極端に強くなります。

 たとえば、0%に近い確率で起きる事は、実際よりも相当高い確率に感じます。

 これに対して、100%に近いけれど100%未満の確率で起きる事は、80%や90%等といった高確率で起きるにも関わらず、その数字よりも相当低く感じてしまいます。

 

 上記のような知見から、人は実際の確率と異なる「自分が感じる確率」を根拠に行動してしまいます。

 日本人の生命保険加入率が、男性77%女性82%である事も「自分が感じる確率」を根拠に考えた結果でしょう。

 

 これらにより、保険の補償に対して必要以上に安心感を抱く事もあれば、保険の支払い負担を金額よりも軽く感じる事もあります。

 こうした「心理的バイアス」の影響を受けながら、日本人は、保険に入るという選択をしています。

 

 

 保険会社の人は、保険の専門家ではなく、保険を売る専門家であるという認識を持ちましょう。

 

 

 知識のある人を始め、徐々に「保険は不要」という認識が浸透してきました。

 今や保険は、社会人になったら入るものではありません。

 

 保険に関する知識や、より良い保険を探す努力、否、保険以外の方法で幸せな人生を選択する方法を知る事が出来れば、あなたやあなたの大切な人の人生の選択肢は広がります。

 マイホームや保険に、人生で最もお金を使う時代は、過去の世界観です。

 

 

 あなたが、保険に加入をする事で、得をするのはあなたでも、あなたの家族でもなく、一等地で自社ビルを持ち続け、年収800万円以上の保険会社の正社員と保険のおばちゃんである事を、頭の片隅に入れておきましょう。