年金を科学する

 年金、医療、介護、給与、銀行や郵便局にお金を預けた場合の利息等、現在の高齢者は、経済的ゆとり世代ともいえるような恩恵を多大に受けています。

 その中でも、極めて世代間格差が大きいのが年金です。

 全国民で高齢者を支える基礎年金制度が確立されたのは、1985年です。

 つまり、これまでは年金を支払っていない人が多かったことが推測出来ます。

 それだけではなく、今まで年金に加入していなかった人の不公平感をなくそうと、政府は様々な高齢者に対する優遇制度を創設しています。

 厚生年金においては、昭和28年生まれの人は61歳から老齢年金を受給出来ますし、配偶者がいるだけで加給年金額という加算がされ、さらに生年月日が早い人には年金を納めた期間が14年~19年あれば受給が出来るような制度等、年金には高齢者が納めた分以上の恩恵を受けられるような仕組みが多分に仕掛けられています。

 現在の70歳以上の人は、収めた分の7倍以上の年金を受給出来るという試算もされています。

 東洋経済新聞が行った調査では、厚生年金に40年加入の男性、専業主婦の配偶者、生涯収入3億円というケースを試算しています。

 生涯年収3億円ということは、平均年収750万円であり、現在の平均年収は400万円であることから、ここからも高齢者が時代の恩恵を受けてきたことを感じますが‥。

 現在81歳の1940年生まれの人は、年金において3,100万円得をします。

 76歳の人は1,760万円、66歳は250万円得をする計算になっています。

 これに対し、現在36歳の1985年生まれの人は、-1,880万円の損をします。

 31歳の人は-2,120万円、26歳の人は-2,290万円損をする計算になっています。

 「年金を払っても、自分達には返ってこない。」という意見をよく聞きますが、実際の損得の数字を計算すると、その世代間格差に驚愕します。