「降りた。殺し合いの螺旋は。」
『バガボンド』武蔵の言葉です。
ロシアのウクライナ侵攻に世界中が驚くとともに、2022年になっても、こんな事が起こるのかと疑問に感じた方も多いのではないでしょうか?
仮に、アメリカ大統領がトランプだったらと想像すると、事前に戦争をとめていたかもしれないという楽観視と本格的な世界戦争になっていたかもしれないという悲観視の両方を想像してしまいます。
とはいえ、戦争に踏み込んだプーチンの心理状態を想像すると、加害者の被害者意識の状態になっている事が想像出来ます。
加害者の被害者意識とは「許してくれないあいつが悪い。」と加害者が自らを被害者であると認識し始める事です。
最初は謝罪をしていた加害者も、被害者が許してくれないと、相手は非常識だと思い始め、謝罪したこと自体も後悔するという心理状態となっていきます。
カルチョでは、ロシアのウクライナ侵攻に抗議する為、全試合の開始を5分遅らせました。
元ウクライナ代表監督、そしてカルチョのレジェンド、シェフチェンコは「我々はただ平和を望んでいる。戦争は望んでいない。ただ平和を望んでいる。」という声明を発表しました。
昨年までサッソーロとローマを率いていたデゼルビとフォンセカの2人も、いまだにキエフから脱出出来ないでいます。
試合開始前「PEACE」というメッセージとともに「問題解決に戦争は必要ない。大きな声で平和と叫ぼう。」というメッセージがサンシーロを始め、イタリアの各スタジアムから世界中に届けられました。
プレミアでは、NOWARというTシャツを選手がユニフォームの上に着用し、戦争反対を世界中に届けています。
シティの監督ペップは、シティの選手であり、ウクライナ代表キャプテン、ジンチェンコに対し「彼を支えたい。」というメッセージを発信しています。
シティVSエヴァートン、グディソンパークは黄と青のウクライナカラーでウクライナを支援する姿勢を示しました。
この光景に、アウェイ選手であるジンチェンコは涙し、その映像を見た世界中のフットボールファンも涙しました。
東日本大震災、コロナ危機、ロシアのウクライナ侵攻、世界が不安定な状態にある時、世界にメッセージを送る事が出来る事が、フットボールの魅力の1つです。
フットボールを観るという事は、ただサッカーを観るという事だけではなく、世界を知るという事でもあります。
加害者は、謝罪をしている時、自分にコントロールする能力がなく、その全てを被害者に委ねています。
人は、自らコントロールが出来ない状態を、最も嫌う生き物です。
謝罪する事は、加害者からすると、少しでもコントロール能力を取り戻したいという現れでもあります。
ここで、被害者が少しも許さないと、加害者は被害者意識を持ち、許してくれない被害者を攻撃してくるようになってきます。
相手が謝罪をしてきたら、全てを許す必要はありませんが、許せる事が出来る部分は許し、加害者にコントロール権を少しでも与える事をお勧めします。
これが、最悪の結果にならない為のコツです。
「強くなりたいでなく、強くありたい。」
再び『バガボンド』武蔵の言葉です。