強者で在るために、何度でも強者(それ)を捨てよう4

 

 「及川、今アルゼンチン行ってんだぜ。」

 「ああ。ウワサに聞いた。」

 「まあ‥がんばってんだわ。お前は、まあまあ活躍中って感じだな。」

 「‥ああ。」

 「世界は、やっぱ強えもんな。高校時代みたいに、圧倒すんのも難しいだろ。」

 「そうだな。」

 「でもよ、ウシワカがまあまあの選手なんてのは、メチャクチャ嫌だぜ。ずっと負けてきた身としてはよ。」

 『ハイキュー』岩泉と若利くんの会話です。

 

 

 仕事をしていても、人生を歩んでいても、どうしても我慢しなければならない場面が生じます。

 仕事であればお客様は勿論、上司や同僚・部下等、人生においては家族は勿論、親戚・友人、または仕事と人生との調整等でしょうか?

 悩みの100%は人間関係にあると唱えたのはアドラーですが、人間関係の悩みを100%解決する方法は、ありません。

 しかし、人間関係の悩みにあなた自身が飲み込まれない方法であれば、お伝えする事が出来ます。

 

 例えば、我慢との付き合い方。

 我慢との向き合い方として有効な方法として、自分自身をBeingとDoingに分けて考えるというものがあります。

 Beingは人格や存在等の「あり方」、Doingは行動であり「やり方」です。

 

 Beingが自分の土台であり、Doingはその土台の上に存在ます。

 我慢するのであれば、Doingをコントロールしましょう。

 例えば、部下に腹が立ち、怒りたいのを我慢する場合、怒るというDoingをコントロールするだけで良いのです。

 Beingは、何も変える必要はありません。

 

 余談ですが、20歳の時インドを旅していた時、仲良くなったイギリス人に「人生の目的とかあるの?」等と質問したら「Human being.」という答えが返ってきた事を思い出してしまいます。

 

 

 部下に腹を立てている自分はダメな上司ではないかと、Beingの否定をしまう事が問題なのです。

 Beingを自己否定したまま頑張ろうとすると、自分以外の誰かになろうとしてしまう為、自分が何者かわからなくなり、元気がなくなったり、やる気がなくなったりします。

 この状態がさらに続くと、適応障害や鬱病になってしまいます。

 このような症状の多くの根幹にあるのが、Beingの我慢、つまり、自己否定が原因なのです。

 

 

 「お前、元々ドガァンみたいな感じではあったけど、もっとドバギャアンって感じになれると思うんだよ。」

 「‥‥そうか。」

 「世界(トップ)じゃ、190㎝も小柄の部類。俺は180㎝も無かったからな。ずっと試行錯誤してた。なあちょっとコレ見てみろよ。参考にしてた選手の動画なんだけど‥。」

 

 「はっ。俺は日本代表に何を言っている。」

 「いや、俺もコーチと試行錯誤しているところだ。参考になる。それに、こういうのは楽しい。」

 「ーじゃあ、マジでサンキューな。お陰で空井さんと、すんなり話せて超ラッキーだったわ。」

 「ああ。俺も‥俺はやはり運がいい。ありがとう。また会おう。岩泉。」

 『ハイキュー』岩泉と若利君の会話です。

 

 

 上記のようにならない為には、どんな事があってもBeingを否定せず、腹が立った自分自身を認める事が大切です。

 腹が立ってもいいし、「あいつ嫌い。」と思ってもいいのです。

 これが自己肯定感です。

 自己肯定感とは、自分の良い所だけを認めるのではなく、悪い所も含めた、ありのままの自分、つまり自分のBeingをと認める事なのです。

 

 

 「単にパワーが増しただけじゃなくて、高校(まえ)とはフォームが変わってんだ。前は空中で腕をグッと引いてからドカンて感じだった。弓を引くみたいな。まあオーソドックスなフォームだな。でも今のウシワカは、円を描く感じで勢いを止めず打ち込む。腕を回すって言うより、体幹と連動する感じ。止まる瞬間が無いから、パワー全部乗せ。」

 「ああソレだ‥動作が止まる瞬間が無いから、打ってくるコースが凄ぇ分かり辛いんだよ。」

 …止まっても強い。止まらなくても強い…

 「‥フォームそれぞれに利点があって、ウシワカなんて前も充分強かったのに、その武器一回壊すって凄えよ。完成しない最強か‥」

 『ハイキュー』東峰と大地さんの会話、日向の脳内言葉、再び東峰の言葉です。