…最近は、映画を撮るために、いろんなことを多角的に見ようと思っていて、たとえば、あなたの嫌だったところ。許せなかったこと。与えられた痛みについて考えるのだけど、とっても難しいわ。あなたは横にいなくて、いい思い出ばかりになっていくのだから…
「うみ子さん、次撮る映画の取材的な質問していいですか?」
「えぇ、もちろん。」
「うみ子さんは、旦那さんに生き返ってほしいですか?」
…すごい質問。だけど、映画に必要な質問なのよね…
「最近よく考えるのだけど、この人が生きていたら、私は映画を撮ってなかったもしれない。だからといって死んでくれてよかったなんて思わないわよ。彼の存在が、私の立ち位置を決めていた部分が確実にある。私も、そこに収まるのが楽だった。‥私はそれを、映画を撮る自分との世界が乖離しすぎていることを描きたい。」
『海が走るエンドロール』うみ子の脳内言葉、海とうみ子の会話です。
A型の人は几帳面、B型の人は自由奔放、O型の人は外向的等、人の性格と血液型には関係があるとよく言われます。
しかし、性格と血液型の関係に、科学的根拠はありません。
その事実を知っても尚、A型の人は几帳面に思ってしまう人も多いでしょう。
そう思ってしまう原因の1つが「確証バイアス」と呼ばれる認知バイアスです。
確証バイアスとは、自分の仮説や信念と一致する情報ばかりに注目し、それ以外の情報を無視しやすい傾向の事を言います。
たとえば「A型の人は几帳面だ」と思い込んでいる人は、A型の人の几帳面な行動ばかりに注目してしまいます。
その一方で、A型の人の大雑把な行動には、あまり注意を払わない傾向にあります。
その結果「A型の人はやっぱり几帳面だ」と思ってしまうのです。
確証バイアスを確かめる実験として、心理学者のスナイダーが行った実験があります。
実験の参加者には、初対面の人にインタビューをして、その人の性格を判断するように言われます。
その際、参加者には事前情報として、事前に外向的な人の特徴或いは内向的な人の特徴が書かれたカードが渡されました。
すると、参加者はインタビューにおいて、カードの内容に書かれた性格と一致するような質問を多く選ぶ傾向がありました。
外向的と書かれたカードを渡された参加者は「あなたは、どんな状況で最も口数が多くなりますか?」等という質問をする事が多くなりました。
内向的と書かれたカードを渡された参加者は「騒がしいパーティーが嫌だと思う事は何ですか?」等という質問をする事が多くなりました。
外向的と書かれたカードを渡された参加者は、外向性に関する質問が内向性に関する質問が2倍となりました。
逆の場合も、同じ数値でした。
私達は、日々の生活や仕事において、物事を素早く効率的に判断する必要があります。
この為、確証バイアスは生きていく上で必要な能力であるとも言えます。
しかし、仮説の真偽を確かめる為には、仮説に一致する情報だけではなく、仮説に反する情報にも目を向ける必要があります。
日頃から、自分の判断が確証バイアスの影響を受けていないか注意をする癖をつけていきましょう。