心配すんなお前達。全部上手くいく

 

 「心配すんなお前達。全部上手くいく。」

 『キングダム』桓騎の言葉です。

 

 

 『ONEPIECE』エース『キングダム』王騎『進撃の巨人』エルヴィン等、好きなキャラクターと物語の最中、死という形で別れる事は、面白い漫画を描くにあたっては必須の事です。

 何故なら、憧れの存在が死ぬ事で、主人公は成長し、物語も次のフェーズに階段を登るからです。

 理解していても、好きな作品の好きなキャラクターが死ぬ事は悲しいものです。

 否、最近は好きなキャラクターの死と向き合う事こそ、漫画を楽しむ醍醐味かもしれないと感じている所もあります。

 

 私は、『ヤングジャンプ』は購入していない為『キングダム』は単行本により追いかけています。

 その為、桓騎の死を先週発売の単行本で知りました。

 私は『キングダム』において、桓騎が最も好きなキャラクターでした。

 

 

 私は一時期『ONEPIECE』と『キングダム』の単行本を購入する事を控えていた時期があります。

 理由は、両作品とも主人公が強くなり過ぎた事と、キャラクターの言動というよりも設定ありきでそこにキャラクターが加わっているように感じる場面が多かった事、展開がワンパターンであった事等です。

 

 「キャラクターが迎えに来る。そこで、これでいいですか?と聞くと、彼らがいいですよと言う。」

 『プロフェッショナル仕事の流儀』の中での井上の言葉です。

 どうやら意識せずか、意識してか、私の中の漫画の基準の真ん中には、井上が存在しているようです。

 

 

 『キングダム』において、そんな私の疑念を一新させてくれた存在が、桓騎でした。

 強さには複数種類がある事を示し、桓騎ならそうするだろうという言動で統一し、どのような作戦で戦を仕掛けるのか想像も出来ないという、私の『キングダム』に対する疑念を見事にひっくり返してくれました。

 

 作者自身も「思えば桓騎というキャラは僕の中でずっと霧の中、もやの中にいて全く掴めないキャラでした。」「桓騎というキャラを読者の方々と一緒に掴むために、まだあまりピントが合っていない中で過去編に飛び込みました。そうやって描いているうちに、ようやく桓騎が何を考えているのか分かってきました。」と記しています。

 

 私は「誰に認めて貰いたいか?」と質問をされたら「『キングダム』の桓騎馬」と答えます。

 

 

 『ハイキュー』『鬼滅の刃』『チェンソーマン』が連載終了をしても『ジャンプ』には王者『ONEPIECE』が君臨し続けています。

 『東京喰種トーキョーグール』『テラフォーマーズ』『ゴールデンカムイ』が連載終了しても『ヤングジャンプ』には王者『キングダム』が君臨し続けています。

 この幸せを、噛みしめたいと思います。

 

 

 

 ヨーロッパのフットボールでは、エムバぺの移籍問題が一面を飾っています。

 来日するパリのメンバーに、エムバぺの名前はなく、真相はわからないものの、マスコミの恰好の的になっています。

 ロナウドが去り、メッシも去った、ヨーロッパのフットボールにおいて、ある意味話題の中心となるという事は、次の王者の資格がエムバぺにあるという事です。

 

 ロナウドは、最強バルサを倒す為にマドリーに移籍しました。

 ネイマールは、バロンドールを受賞する為に居心地の良いバルサを離れる決断をしました。

 メッシは、実現しなかったものの、ヨーロッパで再びチャンピオンになる為に1度自身の愛するクラブとの決別を決断しました。

 

 そういった意味では、自身が成功を掴む為に、計算されたハーランドの移籍の物語には、私は心動かされません。

 

 クラブとの衝突は、王者には不可欠な物語です。

 現在、ヨーロッパで唯一守備をしなくても許される選手が、クラブとの衝突を経て、選手としてだけではなく、1人の男として成長してくれる事を願っています。

 私はヒーローではなく、ダークヒーローが大好きです。