「言いたい人には、言わせておけばいい。今に見てろって熱くなれるから。そっちの方が絶対いい。」
『宇宙よりも遠い場所』小淵沢報瀬の言葉です。
ヒトは、怒りを他の動物とは異なる形で多様化し、進化を遂げてきました。その怒りの多様化がヒトを進化させたとも表現出来ますし、世界を生きにくいものにしてきたと表現する事も出来ます。
動物の怒りは、基本的に家族と縄張りを守る為だけに使われます。
しかし、ヒトの場合は、第三者に怒ったり、無視をする形で怒りを表現したり、微笑を浮かべて怒りを表現したり、さらに上記の報瀬のように、その怒りを内に秘め頑張るエネルギーに変換させたりと多岐に渡ります。
その証拠に動物が怒った時の表情は一律ですが、ヒトが怒った時の表情は多岐に渡ります。
縄張りを大切にし、そのルールの中で生きる動物は、基本的に群れ以外の個体と接触をする機会が少ないです。
その為、怒りも自然と群れの中の仲間に向きます。
そして、怒りは決してマイナスなものではなく、動物の中での怒りとは自己主張です。
猫を観察していてヒトの感覚で不思議になるのが、5分前に怒りをぶつけていた他の猫と、5分後には怒りをぶつけていた事を忘れていたかのように、仲良く毛繕いをしている姿を度々見かけます。
これが、ヒトならどうでしょうか。
5分前に怒りをぶつけた相手と、すぐに仲良くなる事は、中々出来ません。
このように、動物にとっては、怒りとは、和解とセットになっている感情なのです。
怒っても、それは自己主張であり、すぐに和解が出来るというルールがあるからこそ、動物は怒りをすぐに表現出来ます。
ヒトも、元々は動物と同じように、怒りと和解はセットであり、怒りを自己主張として表現していたはずです。
しかし、現代において、そのように怒りを自己主張として表現する事は中々出来ません。
それを裏付ける研究として、喧嘩をよくするカップル程、長続きするというものもあります。
「腹を割って話し合うというのは、骨の折れる事だな。」
『無職転生~異世界行ったら本気だす』ルイジェルドの言葉です。
ルイジェルドの言葉通り、腹を割って話す時には、怒りを表現せざるを得ない局面が多い為、骨の折れる事ですが、その過程を経ない事には、相手との信頼関係を構築する事は出来ません。
結婚に向かないヒトとして、ヒトと腹を割って話す事が出来ないヒトが結婚に向いていない、結婚をしても幸福になる事が難しいというデータが出ています。
1万2千年前農耕が始まった頃より、ヒトの怒りは、多様化していきました。
縄張りが拡がるとともに仲間の数も増え、相手の集団と戦う必要性が生じてきて、相手を貶めるような嘘の物語が、大きな集団を誘導する為に必要になってきました。
ここから、ヒトは怒りと和解というセットから抜け出してしまい、怒りが自己主張ではなくなり、怒りが他のヒトを滅ぼす為に使われていきました。
その後の、フランス革命や世界大戦等も怒りが火種となり始まった血を争う戦いであり、その戦いは現代ではSNS等を通じて継続されています。
数年前アンガーマネジメントなるものが流行り、私も怒りをコントロールする事は大変必要であると同意しますが、そもそも怒りとは、どのようなものなのかを知った上で、怒りと向き合う事が大切になると思います。
怒りと和解はセット、怒りは自己主張、怒りを科学していくと、怒りが決してネガティブなものとして生まれた感情ではない事を知る事が出来ます。