悲しみに飲まれて落ちてしまえば痛みを感じなくなるけれど、君の願い僕は守り抜くと誓ったんだ

 「僕たちは 燃えさかる旅の途中で出逢い 手を取り そして離した 未来のために 夢が一つ叶う度 僕は君を思うだろう 強くなりたいと願い泣いた 決意を餞に 懐かしい想いに囚われたい 残酷な世界に泣き叫んで 大人になるほど増えてゆく もう何一つだって失いたくない 悲しみに飲まれて落ちてしまえば 痛みを感じなくなるけれど 君のことが 君の願い 僕は守り抜くと誓ったんだ」

 『鬼滅の刃無限列車編』主題歌『炎』の歌詞です。

 

 これまでの人生で、あなたが大きく成長したのはどのような時でしょうか?

 前向きな変化が起きたり、新たな目標が見つかったりした、人生のターニングポイントはいつだったでしょうか?

 

 これだという時期が思い浮かんだら、次の質問の答えを考えてみて下さい。

 「その時期は、ストレスも大きかったと思いますか?」

 多くの方がこの質問に「はい。」と答えると思います。

 私達が大きく成長する場面には、必ず大きなストレスがついてきます。

 

 これは、ストレスのパラドクスです。

 ストレス等なるべく感じずに生きていきたいと願っていても、困難な時期、つまりストレスが大きくかかる時期こそ、私達を大きく成長させてくれます。

 

 2010年心理学者のマーク・D・シーリーが「どんな試練も乗り越える」という論文を発表しました。

 2,000人のアメリカ人を対象にした4年に及ぶ追跡調査を行いました。

 まず、初めに過去に経験した辛い出来事について質問をしました。

 愛する人や家族の死、病気やケガ、貧困、離婚、虐待や性的被害、治安が悪い地域での生活等、全部で37項目の質問です。

 参加者が経験した辛い出来事の数は、平均で8でした。

 

 シーリーは逆境が及ぼす長期的な影響を調べる為、参加者達が過去に経験したトラウマの数から、その後4年間の健康状態を予測出来るのではないかと仮説を立てました。

 たとえば、逆境を多く経験した人程健康状態が悪化し、逆境を全く経験していない人は健康状態が良好といったように。

 しかし、調査の結果現れたのはU字曲線でした。

 逆境を経験した数が中程度だった人達が、最も健康上のリスクが低かったのです。

 逆境を経験した数が中程度だった人達は、うつ病のリスクが低く、健康上の問題が最も少なく、一方、人生に対する満足度は最も高いという結果が出ました。

 

 これに対し、逆境を経験した数が少なかった人達と、最も多かった人達は、うつ病になるリスクが高く、健康上の問題が多く出現し、人生への満足度も低いという結果が出ました。

 さらに、過去に逆境を経験した数がないと答えた人達は、人生に対する満足度が最も低いという結果が出ました。

 この調査から、逆境は、健康や幸福度に対して、プラスの効果を与えている事が理解出来ます。

 

 辛い経験をしたら、自責の念に囚われ、苦しみに支配されていまいます。

 苦しみに囚われている時には、どうしても悪い事しか目に入らなくなります。

 それでも、少しずつ悪い事以外に目を向ける事が大切です。

 その辛い経験は、長期的に見たら、あなたを助けてくれる経験となります。

 

 どんな試練も乗り越えれば、人はさらに強くなれます。