情緒安定性の低さは、ネガティブな物事に対する感度に大きく関連しています。
情緒安定性が低い人は、危険を察知する脳の器官である偏桃体が過敏であることが証明されています。
このような人達は、他の人なら見過ごしてしまうような小さな危険の兆候を察知し、それについて考える能力が優れています。
ただし、身の回りの危険はないかといつも警戒している為、慢性的に強いストレスを抱えています。これにより、精神疾患や免疫系疾患に罹患する可能性が高いです。
反対に情緒安定性が安定している人は、浮き沈みの少ない安定した精神状態で日常生活を送ることが出来ます。これにより、健康を害するような疾病を抱える可能性も低いです。
また、情緒安定性は、他の特性を増減させる働きも持っています。
誠実性が高い人は、情緒が安定している時に、更に誠実性が高まります。協調性と情緒安定性がどちらも低い人は、他者との間に問題を生じやすくなります。
悪いことばかりが浮かぶ情緒安定性ですが、もしこの特性が人にとって必要がないものであれば、現在存在していないはずです。
人類史を振り返ると、情緒安定性の低い人が持つ危険に対する感度が、必要であったことに気づきます。
人の様々なパーソナリティは、私達の祖先が30人程度の集団で狩猟生活を送っていた頃より、形成されてきました。
この時代、周囲には敵が多かった為、集団内に危険に敏感な人の存在が不可欠でした。
危険をいち早く察知し、集団内に知らせることは、大切な役割であったことが想像出来ます。
仮に、そのような特性の人がいない集団は、普段は幸せに暮らしていても、肉食動物に襲われた時、逃げ遅れてしまい、肉食動物の餌食になっていたのではないでしょうか。
現代は、当時とは危険の性質が大きく異なります。それでも、危険に敏感に反応するという遺伝子を持つ人は多く存在し、昔と同じように集団内に危険を警告する役割を担っています。