「この気持ちも終わりにするって決めるてるのに、なんで朝起きると、昨日よりも気持ちが大きくなっているの?こんなの酷いよ‥なかったことにするって決めたのに‥あたしは、そう決めたの。しなきゃダメ。」
「だって、先輩は桜島先輩のことが好きじゃん。あたしなんか、迷惑でしょ?こんな気持ち、友達は持ってないもん。友達にはない感情だもん。酷いよ、先輩‥。」
「先輩なんて嫌い、大嫌い。先輩がいけないんじゃん。あたしに、いっぱい優しくしたから‥こんなあたしも嫌い、大嫌い‥こんなのあたしじゃない。」
『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』古賀の言葉です。
死刑囚が、最期に残す言葉は、何だと思いますか?
実は、63%の確率で口にする言葉が「恋愛」に関するものです。
「恋愛」に大差をつけての2位が「家族」に関するものというから、驚きです。
「恋愛」は、この世で最高のものかもしれません。
その証拠に、芸術や音楽の大半が「恋愛」をテーマにしています。
アメリカの心理学者ドロシー・テノフによる「恋をした事がない人は、人生で最も楽しい経験の1つを失っている」という記述に、被験者の83%が同意しています。
しかし、「恋愛」には、良い事も悪い事もあるという事実を「恋愛」を経験した事がある人であれば、誰もが知っています。
ー楽しみと苦しみ、恍惚と苦悶、歓喜と絶望ー
そして、これはあまり議論されない「恋愛」の一面でもあります。
ー気分が高揚している・あまり眠らなくても大丈夫・自尊感情が高まる・思考が次々と浮かぶ・多弁になる・注意散漫になる・社会的及び性的に活発になる・大きなリスクを負う事や恥を恐れなくなるー
まるで「恋愛」をしている、若しくはしていたあなたの事を言っているみたいではないでしょうか?
しかし、実は上記の症状は、精神疾患の診断マニュアル(DSM-5)にある躁病の診断基準です。
上記の症状のうち4つを満たしていたら、あなたは「躁病」と診断をされ、躁鬱病治療薬のリチウムが処方されます。
ー悲しい気分である・普段楽しんでいた事が楽しめなくなった・食欲がない・よく眠れない・疲れている・集中出来ないー
まるで「恋煩い」をしている、若しくはしていたあなたの事を言っているみたいではないでしょうか?
しかし、実は上記の症状は、精神疾患の診断マニュアル(DSM-5)にある鬱病の診断基準です。
上記の症状のうち5つを満たしていたら、あなたは「鬱病」と診断をされ、鬱病治療薬のSSRIが処方されます。
私には、上記の躁病の診断基準は「恋愛」に浮かれている人、鬱病の診断基準は「恋愛」に苦しんでいる人に見えてしまいます。
ー好きな人の事が頭から離れない。自分のやるべき事に集中する事が出来ないー
人類学者のヘレン・フィッシャーの報告によると、恋に落ちたばかりの人は、最大で覚醒時間の85%を、その特別な人の事を考えて過ごしているそうです。
ー好きな人と、どれだけ一緒にいても足りないー
このように感じた事が、あるのではないでしょうか?
好きな人に逢えている時は天にも昇る気分ですが、逢えなければどん底に落とされるような気分です。
SNSで繋がる事で暫くは気持ちが落ち着きますが、その中毒はすぐにあなたを蝕み、SNSで繋がるだけでは満足する事が出来なくなります。
MRIの画像においても「恋愛」は、中毒であるという見方を裏付けています。
「恋愛」をしている人と、薬物依存の人の脳をfMRIでスキャンしたデータを並べると、脳内で同じパターンが確認出来ます。
薬物中毒者は、薬物を手に入れる為なら、何でもします。
それと同様のシステムが「恋愛」において、特別な人を獲得するように、あなたを駆り立てるのです。
恋愛と精神疾患は、紙一重です。
私は、日本における精神疾患を減らす為にも「恋愛」のメカニズムに関して、学ぶ事が必要であると考えています。