「世の中の大事なことって、大抵めんどうくさいんだよ。」
宮崎駿の言葉です。
職場において、コミュニケーションは基本的にコストです。
実際、多くの会社において社員が話している内容は、生産的なものではなく、愚痴や家族の話等である事がほとんどではないでしょうか。
私自身「話していないで仕事をしろよ。」と、疑問を感じた経験が何度もあります。
しかし、私達が何かミスをした時、最も出てくる反省の言葉が「あの時、もっと確認をしておけば良かった。連絡をしておけば良かった。」である事も事実です。
確認や連絡をしない理由は、面倒だからです。
自分や相手の時間、お互いの時間の調整、話す場所の確保、話す事自体に使うエネルギー等、いずれも大きなコストです。
さらに、気心が知れない相手や話が伝わりずらい相手、厄介な内容のクレーム、重要性が確認出来ないままの指示内容、繁忙期等となれば、さらにコストはかさみます。
その為、自分でやってしまった方がいいという結論に行きつきます。
また、会社という組織を成り立たせている階層は、時に非常に大きな障害にも成り得ます。
地位とそれに伴うパワーが付与されるせいで、話しにくさも倍増します。
ある会社には2つの工場があり、それぞれ100人程度の社員が働いています。
1つの工場ではメンタルの不調を訴える社員が複数人出ているのに対して、もう1つの工場ではメンタルの不調を訴える社員は1人もいません。
この違いは、何によるものでしょうか?
メンタルの不調を訴える社員がいない工場では、工場長が毎朝社員一人一人に声を掛けていました。
一方、メンタルの不調が複数人出ている工場では、上記のような毎朝の声掛けは行われておりませんでした。
工場長の毎朝の声掛けだけが要因とは言い切れませんが、毎朝の声掛けが工場で働く社員のメンタルに良い影響を生じさせている事は間違いなさそうです。
このような結果をみると、工場長の社員に対する朝の声掛けは、コストではなく、必要な事であると捉える事が出来ます。
社員一人一人の健康を維持し、ひいては事故発生の予防にも一役買っている事を考えれば、上司の声掛けは立派な仕事の1つであり、評価すべきポイントとなります。
このようなデータを見ると、何の仕事もしていない様に思える上司にも、適切な声掛けが行えていれば、存在意義はあるようにも思えます。
最も、仕事とは成果を上げる事が目的である為、そのような上司は会社に1人いれば十分ではありますが‥。