我々に必要なのは、もっとゆっくりイエスと言い、もっと素早くノーを言うことだ

 

 ある男性が、講演後、仕事でも取引のある学生時代からの友人から声を掛けられました。男性は、彼と再会するのは数年振りでした。

 「我々の会社と仕事をしてくれるなんて嬉しいよ。最高のシーフードを食べさせてくれる店があるんだが、一緒にどうだい?もちろんシンシア(娘)も一緒にね。」

 「それはいいね。君と最高のシーフードディナーとは最高だろうな。」

 これを聞き、シンシアは意気消沈しました。

 彼女は、父親と数カ月前から、どこに行くのか、何を食べるのか、何時まで起きているのか等、入念に2人のデートプランを考えていたからです。

 

 しかし、その時、父親はシンシアの予想とは異なる話を友人に伝えました。

 「でも今夜は駄目なんだ。シンシアと特別なデートの約束をしているものでね。そうだろう?」

 男性はシンシアにウインクをし、そっと手を伸ばし歩き始めました。

 2人は、父と娘で、生涯忘れられない思い出を作る事が出来ました。

 

 

 当然の行動であると思う人も、いるかもしれません。

 しかし、男性と同じ状況に置かれた時、娘を優先出来る人がどれだけいるでしょうか。

 大切な仕事相手との会食を断り、古い友人と交流を深めるチャンスを、ふいにする決断を即座に出来るでしょうか?

 

 急な決断を迫られた時、その場で正しく本質を選ぶ事は難しいです。

 自分にとって重要な事を明確にしていない限り、私達は葛藤に対して無力となります。

 次々とやってくる選択から私達を守ってくれるのは「自分にとって本当に重要な事はこれだ」という確信です。

 

 ちなみに男性、つまりシンシアの父親は『7つの習慣』の著者スティーブン・コヴィーです。