才能は開花させるもの。センスは磨くもの8

 

 「俺にとってサッカーは、仕事じゃねぇ。王様(キング)になる手段だ。俺は、俺のやり方で、この世界に勝つ。俺を使いてぇなら、お前が俺に適合しろ。ザコ指導者(マスター)。」

 「へはは。いいな。馬狼照英。やっぱ最高最高。でもキミ、自分は天才で、高尚な人間だって思ってんだろ?」

 「あ?」

 「キミは、サッカー選手である前に、ただの人間だ。それを履き違えているようじゃ、素人(アマチュア)だっつってんの。」

 

 「キミは結局、才能のない人間を見下して生きてんだよ。キミの才能は、両親が与えてくれた、ただの贈り物(ギフト)だ。その意味を理解しなきゃ、本物(プロ)じゃない。」

 「あぁ、何だそりゃ。ママとパパに感謝すりゃ、世界一になれんのかよ?だったら、俺は感謝なんかしねぇで、史上最低の世界一のストライカーになってやるよ。」

 『ブルーロック』馬狼照英とマルクの会話です。

 

 

 近年の研究では、一般的には悪い事だと思われていても、状況によっては役に立つ特性がいくつも明らかにされています。

 

 自信がない人は、複数の研究により、他人の批判を素直に受け入れる傾向が高い事が証明されています。

 その為、自信がある人よりも、能力が育つスピードが速いです。

 また、自信がない人程、世の中を歪んだ目で見ない傾向があり、そのおかげで現実に基づいた判断が出来る可能性が高いとされています。

 自信の低さが、自分の限界や能力不足を示すシグナルの働きをし、そのおかげで現実をありのままに把握する能力が高まる為と考えられています。

 

 協調性がない人は、他人と上手くやる事が出来ない為、社会生活においてマイナスに働く事が多いです。

 しかし、周囲からの批判を恐れない為、独創的なアイデアを出したり、1人でコツコツと実績を残し続ける事が、よくあります。

 また、協調性がない人は、他人との衝突を恐れない為、自分の意見を押し通すのが上手く、年収も高い傾向にあります。

 

 内向的な人は、人の心を読むのが上手い傾向があります。

 内向的な人は、外向的な人と比較し、他人を観察する時間が長く、自分の内面を掘り下げる回数も多いです。

 その為、自然と人の心理に対する理解が深まる傾向にあります。

 

 

 ジョージア大学が、1,258人のビジネスパーソンを対象に行った研究があります。

 この研究では、参加者の性格をチェックし、その結果を第三者が作成した仕事のパフォーマンスと比較しました。

 研究結果において「コツコツと仕事に取り組む」「誰とも社交的にやっていける」等というポジティブな特性も、状況によっては、メンタルの悪化や仕事のパフォーマンス低下に繋がる事が報告されています。

 

 

 日本人が生徒や部下・同僚等に好む協調性と外向性が高いという性格特性は、果たして本当にその人の成功や幸せに繋がるのでしょうか?

 協調性が高くなればなる程、上の立場の人からの本音のアドバイスが受けられず、年収も下がります。

 これは、協調性が高過ぎるせいで、他人との衝突を避けるようになる為であると推測されています。

 

 外向的ではない人、つまり内向的な人は、外向的な人よりも格段に他人の行動を正確に予想する事が出来ます。

 外向的な性格が行き過ぎた人は、いつも芝居がかったような態度になり、刺激ばかり求め、他人に対して偉そうな態度をとっていると思われてしまう事が多いです。

 その結果、周囲からは面倒な人として扱われ、結果として仕事のパフォーマンスが低いという研究結果が出ています。

 

 勿論、性格や特性とは表裏一体です。

 協調性には協調性の良い面があり、外向性には外向性の良い面もあります。

 ただ、多くの人が良いものだと言っているからという理由だけで、自身の性格特性を変える必要はないのではないかと思います。

 

 そして、性格特性をきちんと理解している人は、殆どいません。

 その為、基準が人により異なる性格を基準として、他者を判断する事はリスクが高いです。

 他者を判断する時は、性格特性ではなく、行動特性で判断する事をお勧めします。

 その人がどのような性格かではなく、その人がどのような行動をしているのかを見ていきましょう。