料理を食うなら、皿ぐらい洗え

 

 「人の流れにいつの間にか慣れ 目に見える物見たくない物 矛盾や慣れない嘘を付くこと 手に入れた物失った物を受け入れ この街で少し大人へ 」

 「振り返ればここ東京の街 同じ寂しさを持つ者達と語り合い 孤独不安不確かな明日分かち合い 形を変えたあの頃の夢 まだ見続け捨てきれず この胸の中にあるその何かを見つけるまで僕は帰らない」

 ケツメイシ『東京』の歌詞です。

 

 

 子どもには、若いうちから1人暮らしをさせた方がいいというのが私の持論です。

 その理由は、当たり前の環境が、本来当たり前ではない事に気付く為です。

 当たり前の環境が、本来当たり前ではない事に気付いた時、初めて感謝の気持ちが生まれます。

 このように感謝出来る環境に子どもを置く事が、親が子どもに出来る最後のプレゼントではないでしょうか。

 

 

 東京で生まれた子どもの多くは、大学も、東京の大学に進学します。

 その為、大学生になっても実家から離れる事なく、親と一緒に生活をします。

 さらに、多くの人が東京で就職をする為、社会人になってからも、実家で親と一緒に生活をしています。

 これでは、感謝の気持ちは中々生まれません。

 

 日本で1番魅力的な街は、間違いなく圧倒的に東京です。

 大阪や名古屋、横浜よりも、池袋の方がパワーを持っているのではないでしょうか。

 地方が衰退していく中、私は、東京から出て1人暮らしをする若者に1カ月5万円程の1人暮らし給付金を支給したらどうかと考えています。

 地方であれば、5万円なら家賃を支払う事が可能です。

 これにより、若者がその地方の街に住み、地元の銀行で口座を作り、地元のお店で買物をし、地元のお店で遊び、お金を落としていけば地方の経済は回ります。

 そして、1人暮らしをする事で、感謝の気持ちとともに強くなった若者は、そうではない若者と比較し、将来成功し、日本に貢献する可能性が極めて高いです。

 

 

 たとえば、料理は作った物を食べてしまえば、無くなってしまいます。

 そう考えると、料理は考える時間・仕込む時間・作る時間に対して、食べる時間があってないようなものです。

 私は、以前私が時間を掛けて作った料理を友人が一瞬で食べた姿をみて、殺意がわいた事があります。

 料理を作った側からすると、がっつかずにゆっくり食べてほしいと、心から感じるものです。

 

 多くの親が「ゆっくり食べなさい」と何度も言っている気持ちが、料理を作る側を経験するとよく理解出来ます。

 嚥下や咀嚼の事はもちろんですが、それ以上にゆっくり食べる事で、料理を味わう事が出来、感謝の気持ちも生まれます。

 そして、その時間をともに共有する事で、料理を作ってくれた人にも感謝の気持ちが伝わります。

 

 

 料理を作る人は、料理の最中に味見をするし、気化された油も吸っています。

 その為、食べる時にはお腹いっぱいです。盛り付けも自分でやるから、料理が目の前に運ばれてきた時の感動もありません。

 さらに、味がわかっている為、食べた瞬間の「美味しい」という感動もありません。

 後に残っているのは、片付けだけです。

 

 そう考えると、毎日料理を作っている主婦・主夫はすごいと思います。

 料理を作ってくれる人達には、感謝を伝えないといけません。

 

 だから、皿を運びましょう。洗い物くらいやりましょう。

 あなたの家は、レストランではありません。

 皿すら洗わないのなら、お金を支払うべきです。

 

 

 感謝出来る環境に身を置く事。それも、なるべく感情の起伏が大きい若いうちに。

 感謝を自ら学び、人は大人になっていきます。