春は夜桜。夏には星、秋には満月。冬には雪。それで十分酒は美味い。それでも不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでいる証拠だ19

 

 

 「春は夜桜。夏には星。秋には満月。冬には雪。それで十分酒は美味い。それでも不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでいる証拠だ。」

 『るろうに剣心』比古清十郎の言葉です。

 

 

 

 二十四節季において、3月21日~4月4日までを「春分」と呼びます。

 「春分」は、太陽が真東から昇り・真西に沈む為、昼と夜の長さが、等しくなる季節です。

 春の彼岸(春分とその前後3日間の計7日間)の季節でもあります。

 

 太陽が真西に沈む時期は、御先祖様が住んでいる「極楽浄土」と私達が住んでいる「現世」とが交流しやすいと、考えられていました。

 その為「春分の日」と「秋分の日」を中日として、前後3日を合わせた7日間の事を「彼岸」と名付け、お墓参りをする習慣が出来たとされています。

 「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、「彼岸」を境に季節が変わり、寒さや暑さが和らぎ、過ごしすくなっていく季節でもあります。

 

 

 

 「春分」の日には「ぼたもち」を食べ「秋分の日」には「おはぎ」を食べる習慣があります。

 味も、見た目も、同じ両者ですが、その違いは「季節」にあります。

 

 春に食べる「ぼたもち」は、季節の花である「牡丹」に見立てた事から「牡丹餅」と呼ばれ、後に「ぼたもち」と言われるようになりました。

 「牡丹」は、丸くて大きな花をつけるので「ぼたもち」も、これに倣い、丸く大きく作ります。

 

 秋に食べる「おはぎ」は、季節の花である「萩」に見立てた事から「おはぎ」と言われるようになりました。

 「萩の花」は、小さいので「おはぎ」も、これに倣い、小ぶりで俵型に作ります。

 

 

 また「小豆」の収穫時期は、秋の為「春の彼岸」まで保存された「小豆」は、どうしても固くなってしまいます。

 その為、春に食べる「ぼたもち」には、固い「小豆」が食べやすくなるように、潰した「こしあん」を使います。

 これに対し、秋に食べる「おはぎ」は、収穫されたばかりの柔らかい「小豆」を使う為「小豆」のそのままの美味しさを味わう為「粒あん」を使います。

 

 

 

 「春分の日」に「ぼたもち」を食べる理由は「ぼたもち」に使われている「小豆」にあります。

 古来から、日本では「小豆」の色である「赤」に「魔除け」の力があるとされていました。

 その事から、邪気を払い・災難から守ってくれる食べ物として「小豆」を使った「ぼたもち」が作られました。

 

 そして、御先祖様への供え物として「彼岸」に食べるようになりました。