春は夜桜。夏には星。秋には満月。冬には雪。それで十分酒は美味い。それでも不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでいる証拠だ

 

 「春は夜桜。夏には星。秋には満月。冬には雪。それで十分酒は美味い。それでも不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでいる証だ。」

 『るろうに剣心』比古清十郎の言葉です。

 

 

 二十四節季という暦は、中国で生まれました。

 当時の人々は、春夏秋冬という4つの季節だけではなく、季節の移ろいを、24にも分けて捉え、それに合わせて生活をしてきました。

 そして、その時々で旬のものを味わう事も、当時の人の楽しみであり、旬のものが最も美味しい事は、現代でも変わりはありません。

 

 

 春のスタートとなる立春は、2月の寒さ真っ只中。

 秋のスタートとなる立秋も、8月初旬の暑さ真っ只中。

 体感的には、1カ月半程のズレを感じます。

 おかしいと感じた事は、ありませんか?

 

 これは、太陽のエネルギーが地表に届き、私達、人に伝わるまでのタイムラグによるものであると考えられています。

 

 古典では、季節の始まりについて、次のような一説があります。

 …天の季節は冬至から始まり、地の季節は大寒から始まり、人の季節は立春から始まる…

 

 冬至は、陰陽の陰が極まる時を指します。

 陰が極まった次の瞬間から、陽が増えてくる為、これが天の季節のスタートです。

 そして、天(太陽)で生み出された陽のエネルギーが大地を温め、地の季節が始まるのが大寒です。

 大寒に伝わったエネルギーは、地表と接する足から、人の身体に行き渡ります。

 これが立春にあたり、天の季節から1カ月半ほどの開きを経て、ようやく人の季節が始まります。

 

 宇宙と自然の流れによる、壮大なタイムラグ。

 占いのようで少し距離を置きたい気持ちにもなりますが、二十四節季を楽しむ事は、四季が美しい日本の特権です。

 知らない世界を知る事は、私達の人生を豊かにしてくれます。