「春は夜桜。夏には星。秋には満月。冬には雪。それで十分酒は美味い。それでも不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでいる証拠だ。」
『るろうに剣心』比古清十郎の言葉です。
二十四節季において、6月21日~7月6日までを「夏至(げし)」と呼びます。
「夏至」は、太陽の中心が夏至点を通過する、昼が最も長く、夜が最も短い季節です。
「夏至」には「日長きこと至る(きわまる)」という意味があり、北極では太陽が沈まず、南極では太陽が現れないという両極端な季節でもあります。
日本では、古代より「夏至」を太陽の化身とされる「天照大神(あまてらすおおかみ)」が日本を最も長く照らしてくれる日であるとされ、田植えをする目安とされてきました。
「夏至」は、梅雨の時期でもあります。
「栗花落(つゆり)」とは、梅雨入りの当て字です。
梅雨入りが栗の花が散る時期に重なる事から「栗花落」という言葉が誕生しました。
今年の梅雨入りは遅く、関東では例年より14日遅いという発表でした。
蒸し暑さに加え、雨も加わると、電車での通勤や合羽(かっぱ)を着ての自転車移動等、関東で仕事や子育てをする人には、辛い時期でもあります。
花粉症とともに、梅雨の時期は、日本から脱出したくなる気持ちを抱くのも、私だけではないでしょう。
先日、軽井沢に行った時には、蒸し暑さのない気候に、感動しました。
若しかしたら、日本人のネチネチした性格傾向には、日本の気候も影響しているのかもしれません。
見方を帰れば、梅雨の雨は、惠の雨と捉える事も出来ます。
雨が降る事で、草木が育ち、草木が育つ事で、私達は野菜や果物・肉等を食べる事が出来ます。
このような見方をすれば、雨が降ったとしても、ポジティブな気持ちを持つ事が出来ます。
そんな夏至の旬の食材は①冬瓜(とうがん)②オクラ③タコです。
①冬瓜は、冬の瓜と書きますが、夏が旬の野菜です。
名前に冬が入っているのは「夏に収穫したものが、冬までもつ」と言われる程、保存がきくからです。
実際には、冬までは持ちませんが、風通しの良い場所に置いておけば、2~3ヵ月は、保存する事が出来ます。
冬瓜には「カリウム」が多く含まれています。
「カリウム」には、過剰に摂取された「ナトリウム」を体外に排出する働きがあります。
この働きにより、高血圧の予防や利尿作用を促し、浮腫み等も改善する効果があります。
②オクラが、日本に渡来したのは、明治5年頃です。
しかし、青臭さやネバネバ感が、当時の日本人から敬遠され、中々普及せず、文字通り「オクラ入り」してしまった歴史があります。
そこから数十年後の1960年代になり、ようやくオクラが食卓に並ぶようになりました。
ネバネバ野菜の代表格、オクラは、世界中で親しまれており、薬用植物としても扱われる程、滋養に富んでいます。
オクラには「Bカロテン」が、豊富に含まれています。
「Bカロテン」は、体内で「ビタミンA」に変換されます。
免疫力・視力の維持、粘膜(鼻・喉)の健康維持、アンチエイジングに効果的な栄養素です。
「脂溶性ビタミン」である「Bカロテン」には、油に溶けやすい性質があります。
油を使っていためたり、油を含むドレッシングをかけたりすると、効率良くオクラの持つ「Bカロテン」を体内に吸収する事が出来ます。
③関西の一部の地域では「夏至」にタコを食べる習慣が残っています。
一度吸い付いたら、簡単には離れないタコの吸盤の如く「田んぼに植えた苗の根がしっかり根付きますように。」という願いを込めて、田植えの時期である「夏至」にタコを食べるのです。
タコは「ビタミン」「ミネラル」に加え、アミノ酸の一種である「タウリン」を豊富に含まれています。
「タウリン」には、動脈硬化や肝機能強化、網膜細胞の機能を正常に保つ働きがあります。
この為、目の疲れにも効用があります。
「夏至」は、蒸し暑い日が多い為、さっぱりとしたものを食べたくなります。
そんな時には、タコを使ったサラダがお勧めです。
「夏至」のお勧めの過ごし方は、休みの日に涼しい場所に出掛ける事です。
東京に住んでいるのであれば、軽井沢や那須高原、また埼玉のムーミンパーク等もお勧めです。
思い切って、東北や北海道に行く事も、良いでしょう。
涼しく、自然に囲まれた場所で、過ごす事で、身体にも心にも、新鮮な酸素を運んでみて下さい。
「ー俺達は、血液だ。滞りなく流れろ。酸素を回せ。脳が正常に働く為に。」
『ハイキュー』音駒高校の試合前のルーティンです。
食事が美味しくなる重要な要素は、2つです。
1つは、空腹である事。
もう1つは、旬の食材を味わう事。
旬の食材を味わい、心と身体に栄養を補給して、今日も人生を乗り切っていきましょう。