「春は夜桜。夏には星。秋には満月。冬には雪。それで十分酒は美味い。それでも不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでいる証拠だ。」
『るろうに剣心』比古清十郎の言葉です。
二十四節季において、7月7日~7月22日までを「小暑」と呼びます。
笹の葉に短冊・吹き流しの飾りを吊るし、星に願い事をする七夕の時期であるとともに、学生は、夏休み間近の最もワクワクする時期です。
夏祭りや花火大会等のイベントも、数多く開催されます。
「小暑」とは、暑さがだんだんと強くなっていくという時期です。
私が生まれ育った静岡市では、7月7日に本年度全国初となる40℃超えを記録し、静岡市において気温が40℃を超える事は、観測史上初めてです。
「溽暑(じょくしょ)」の言葉そのままに、日本の夏の蒸し暑さは、人の命までも危険に晒します。
熱風ではなく、初夏に若葉の間を風が爽やかに吹き抜ける様子を形容する「風薫る」のような風を感じたいものです。
「小暑」の風習として「暑中見舞い」が挙げられます。
「暑中見舞い」とは、日頃お世話になっている方へ贈る夏の挨拶状の事です。
これに、夏の暑い時期に相手の健康を気遣って贈るという意味も込められています。
現代において「暑中見舞い」を贈る事は少なくなっています。
私が、お勧めしているのは、自分自身に贈る「暑中見舞い」です。
私が考えるお洒落な「暑中見舞い」は、物を贈るのではなく、山や湖等、涼しい場所に出掛けるという体験を贈る事です。
「小暑」の旬の食材は、①素麺(そうめん)②鰈(かれい)③茄子(なす)です。
①日本の蒸し暑さの中では、食欲が落ちます。
食欲が落ちた時には、喉越しの良い素麺の出番です。
素麺は、元は中国から伝わった索餅(さくべい)というお菓子でした。
「七夕の日に索餅を食べると病気にならない」という風習があり、平安時代には、宮中において、七夕の節句に索餅が供えられていました。
江戸時代になり、索餅の代わりに、素麺が供えられるようになります。
☆細く白い素麺を糸に見立て、裁縫・機織りの上達を祈願
☆素麺の原料の小麦に毒を消すという言い伝えがある事から健康を祈願
☆彦星と織姫にあやかり、恋の成就を祈願
古くから、素麺には、様々な願掛けがされてきました。
現代において、素麺に願掛けをする人はいない為、素麺に願掛けをしてみるのも、また一興かもしれません。
②夏が旬の鰈は、日本近海に生息していますが、北の海域で水揚げされる魚です。
鰈は、孵化直後は、他の魚同様、頭の左右に目があり、背びれを上にして泳ぎます。
そこから、体長が10㎜程度に育つと、目の移動が始まります。
孵化から40日も経過すると、目の移動が完了します。
目のある側は褐色に、目のなくなった側は白色にと、体の色も変化していきます。
目のなくなった白い側を下にして、海底を這うように泳ぐようになるという、面白い魚です。
鰈100gに含まれる「EPA」は180㎎、「DHA」は96㎎です。
鶏もも肉に含まれる「EPA」は1mg、「DHA」は7㎎です。
「EPA」「DHA」は、人が体内で殆ど作る事の出来ない「必須脂肪酸」です。
「EPA」は、血液の性状を健康な状態に保ち、高血圧・高脂血症の予防に加え、脳梗塞・心筋梗塞・動脈硬化を予防する働きがあります。
「DHA」は、脳や網膜等の神経系に働き、免疫反応の調節・脂肪燃焼の促進・血小板の凝集等、多岐に渡り、私達の身体を助ける働きがあります。
③煮びたしや天ぷら等の和食。
マリネやラタトゥイユ等の洋食。
麻婆茄子等の中華。
幅広いジャンルの料理に活躍する茄子。
茄子は、どんな味付けとも相性の良い、万能野菜です。
茄子に含まれる栄養素の中で、最も特徴的なものが「カリウム」です。
「カリウム」は、余分な塩分や水分を体外に排出する働きがあります。
「カリウム」の働きにより、高血圧予防や浮腫みの解消が期待出来ます。
また、水分とともに、体の熱も放出してくれる働きもあります。
これにより、のぼせやほてり等を鎮める効果もあり、怠さや食欲不振等の夏バテを予防・緩和してくれます。
食事が、美味しくなる重要な要素は、2つです。
1つは、空腹である事。
もう1つは、旬の食材を味わう事。
旬の食材を味わい、心と身体に栄養を補給して、今日も人生を乗り切っていきましょう。