「春は夜桜。夏には星。秋には満月。冬には雪。それで十分酒は美味い。それでも不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでいる証拠だ。」
『るろうに剣心』比古清十郎の言葉です。

二十四節季において、7月23日~8月7日までを「大暑(たいしょ)」と呼びます。
突き抜ける青空に、入道雲と、黄色い向日葵(ひまわり)が映える、まさに夏の風景がみられます。
「大暑」は、1年で最も暑い時期であり、例年は毎日のように35℃以上の気温が続く「猛暑日」が重なり、日中外に出る事は危険な暑さです。
‥鎌倉や 御仏なれど 釈迦牟尼は 美男におはす 夏木立かな‥
夏木立(なつこだち)とは、夏に生い茂る並木の事です。
釈迦をイケメンと歌った、与謝野晶子の歌です。
「大暑」の旬の食材は①鰻(うなぎ)②西瓜(すいか)③葡萄(ぶどう)です。
①「土用の丑の日」に鰻を食べる事は、誰もが知る所です。
では、「土用の丑の日」とは、どのような意味なのでしょうか?
「土用」とは、季節の変わり目に当たる「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前の18日間を指します。
中国五行思想においては「木・火・金・水・土」の五行を、各季節に振り分けました。
「春は木」「夏は火」「秋は金」「冬は水」と振り分けた所、「土」は、どの季節にも振り分けられなかった為、各季節の変わり目にあたる頃を「土用」と呼ぶようになりました。
「丑の日」の「丑」は、十二支を基にした数え方の事を指します。
十二支の中で「丑」は、2番目の為「土用」の18日間の中で「丑の日」は2日目(一の丑)と14日目(二の丑)の2回迎える事になります。
「大暑」の時期に訪れる「丑」の日は、1年で最も暑い時期である事から、着目され「土用の丑」の日が、日本においても定着してきました。
1年で最も暑い時期を乗り越える為「う」のつく食べ物である、鰻・梅干し・うどん・瓜(うり)等を食べて乗り切るという考えになりました。
2024年においては、7月24日と8月5日が「土用の丑の日」となります。
鰻を食べ、精をつけ、1年で最も暑い時期を乗り切っていきましょう。

②夏の風物詩でもある西瓜。
シャリシャリとした食感で、甘くて瑞々しい西瓜は、夏の暑さを振り払ってくれます。
西瓜は、水分量が90%あり、水分の他にも「ミネラル」「ビタミン」「糖分」「アミノ酸」等も含まれている為、夏バテや熱中症予防に最適な食べ物となります。
西瓜と言えば、緑地に黒色の縞模様が特徴的です。
独特の風貌をしている西瓜ですが、この模様は、西瓜の果実を種、種を運んでくれる鳥が、上空からでも発見しやすいように進化してきたという説もあるようです。
また、西瓜の中心部分が最も甘いのは、より多くの種を食べて貰えるように、進化した為だとされています。
③葡萄には「ポリフェノール」「ブドウ糖」「カリウム」等、様々な栄養成分が含まれています。
「アントシアニン」「レスベラトール」「タンニン」等、葡萄には様々な「ポリフェノール」が含まれています。
「アントシアニン」は、眼精疲労や動脈硬化を予防する働きがあります。
「レスベラトール」には「コラーゲン」を分解する酵素である「コラゲナーゼ」の働きを抑える働きがあります。
これにより「コラーゲン」の減少を防ぐ事で、肌のシワや弛みを予防する事が、期待出来ます。
日本に葡萄が伝わった由来は、諸説ありますが、奈良時代の高僧である行基が、訪れた甲斐の国で、修行中、夢枕に手に葡萄を持った薬師如来が現れ、これ依頼、行基は薬として大陸から伝わった葡萄を勝沼に伝えたという説があります。
確かに、勝沼は、現在でも、葡萄の名産地です。
ちなみに、葡萄と聞き、多くの方が思い浮かべる「巨峰」は、山梨県産ではなく、静岡県産です。
育成地から眺められた富士山にちなんで命名された「巨峰」は、その大きさと美味しさから「葡萄の王様」とされています。
食事が、美味しくなる重要な要素は、2つです。
1つは、空腹である事。
もう1つは、旬の食材を味わう事。
旬の食材を味わい、心と身体に栄養を補給して、今日も人生を乗り切っていきましょう。