「春は夜桜。夏には星。秋には満月。冬には雪。それで十分酒は美味い。それでも不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでいる証拠だ。」
『るろうに剣心』比古清十郎の言葉です。

二十四節季において、12月7日~12月21日までを「大雪(たいせつ)」と呼びます。
本格的な冬の到来。
山々は雪化粧をし、雪国では雪が降り、積もり始める季節です。
天気予報では「真冬並みの寒さ」という言葉が、飛び交うようになります。
…友待つ雪のほのかに残れる上に、うち散りそふ空をながめたまへり…
『源氏物語』の一説です。
友待つ雪(ともまつゆき)とは、新しい雪が来るのを待っているように溶けずに残っている雪の事を、呼びます。
「大雪」の旬の食材は、①牛肉②大根③長芋です。
①1年中スーパーに並ぶ牛肉ですが、牛肉の旬は、秋~冬に掛けてとされています。
牛は、暑さに弱く、寒さに強いという特性があります。
☆暑さが落ち着き、飼料をたくさん食べる為、生育が良くなり肉質もよくなる
牛肉には「タンパク質」「ビタミンB12」「鉄分」等、様々な栄養素が含まれています。
♦タンパク質:身体を作る
「タンパク質」は、20種類のアミノ酸から形成される筋肉・臓器・肌等、身体を作る上で不可欠な栄養素。
牛肉は「タンパク質」が摂れる食材の中でも、9種の必須アミノ酸のバランスが良く「アミノ酸スコア」は100点。
♦ビタミンB12:貧血予防
「ビタミンB12」は、赤血球を作る働きがある栄養素。
不足すると、疲労感・認知機能の低下・貧血を起こす等、健康的な生活には欠かす事が出来ない栄養素。
植物性の食品には含まれない為、豚肉・鶏肉と比較し「ビタミンB12」の含有量が多い牛肉を食べる事がお勧め。
♦鉄分:疲労回復
「鉄分」は、赤血球の材料で、身体内に酸素を運搬する栄養素。
身体の働きだけではなく、思考力や学習能力にも、ポジティブな影響を与える栄養素。

②大根の原産地は、地中海沿岸若しくは中東とされています。
紀元前2,200年の古代エジプトにおいて、ピラミッド建設の労働者の食料として提供されていました。
日本には、弥生時代までに、中国から伝来したとされており、文献上の最も古い記録は『古事記』です。
大根は、神話の中でも、魔法を持つ力の象徴として登場します。
その為「豊穣」「生命力の象徴」とされています。

大根に含まれる栄養の特徴は「ビタミンC」「葉酸」が、抜きんでて高い事にあります。
「ビタミンC」は、コラーゲンの生成に関わり、健康維持に加え、美容にも寄与される栄養素です。
免疫機能をたかめる効果も期待出来る為、風邪を引きやすいこの季節には、特に摂取する事が望まれる栄養素です。
ビタミンB群の1つである「葉酸」は「造血のビタミン」とも呼ばれる栄養素です。
「葉酸」には、細胞分裂を助ける働きがあります。
その為、妊娠を希望する女性や、妊娠中の女性は、積極的に摂取する事を、お勧めします。
③長芋・大和芋・自然薯等、様々な種類のある山芋も「大雪」の時期に美味しくなる食材です。
長芋は「大雪」と、冬を越した4~5月と、年2回旬がある食材です。
「大雪」の時期の長芋は、水分が多く、瑞々しいのが特徴です。
長芋は、日本の山芋の中で、最も多く栽培されている品種です。
他の品種と比較し、水分が多い為、粘りが弱く、すりおろすよりも、細切りにして、そのまま食べる方が、サクサクとした食感を楽しむ事が出来ます。
これに対し、大和芋は、長芋よりも、粘りが強い為、すりおろして食べる「とろろ」に向いています。
長芋には「マグネシウム」「ミネラル」が、多く含まれています。
「マグネシウム」「ミネラル」は、食べた糖質を、エネルギーに変える際に、必要なエネルギーです。
長芋と、ご飯を一緒に食べる事は、ご飯の糖質を効率良くエネルギーに変えてくれる為、理に適った食べ方の為、お勧めです。
食事が、美味しくなる重要な要素は、2つです。
1つは、空腹である事。
もう1つは、旬の食材を味わう事。
旬の食材を味わい、心と身体に栄養を補給して、今日も人生を乗り切っていきましょう。