時を経て理解する

 2009年3月『ONEPIECE』にてレイリーの、「若い芽を摘むんじゃない。これから始まるのだよ。彼らの時代は。」という言葉を私はイマイチ理解できずにいました。

 もちろん、文面としては理解出来ますが、どこか腑に落ちない感覚がありました。

 「ルーキーを守り、育てるのが大切なのは理解出来るが、そんなことより誰よりも強いあなたが敵を倒してくれればいいのでは?」というような気持ちでした。

 この腑に落ちない気持ちを、2020年3月『鬼滅の刃』にて煉獄の言葉が解決してくれました。

 「己の不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと、心を燃やせ。歯を喰いしばって前を向け。君が足を止めて蹲っても時間の流れは止まってくれない。共に寄り添って悲しんではくれない。俺がここで死ぬことは気にするな。柱ならば、後輩の盾となるのは当然だ。柱ならば誰であっても同じことをする。若い芽は摘ませない。」

 10年以上の時を経て、ジャンプを代表する両作品が、作品やキャラクターを変えて、同様のことを言っています。

 どんなに強い者でも力は衰え、やがて死が訪れます。つまり、次の時代の主役達が、必要となる時が必ず訪れます。

 奇しくも、現在の『ONEPIECE』も、まさにそのことがテーマとなっています。

 「若い芽を摘むんじゃない。これから始まるのだよ。彼らの時代は。」には、その意味が凝縮されています。