最高の瞑想とは、睡眠である

 

 「あ、主人呼んできますね。」

 「いるの?」

 「ええ。奥で寝てます。」

 「寝てる?画眉丸が?」

 「信じられない…と言うか、もう画眉丸ではないんですよね。」

 

 「起きて。あなた。あなた。もう駄目ですね。全然起きない。」

 「野良猫から、家猫になったのね。」

 「気持ちよさそうな寝顔ですね。」

 「すみません。本当に…。」

 『地獄楽』画眉丸妻と杠、山田浅ェ佐切の会話です。

 

 

 睡眠不足により、鬱病・認知症・肥満になる可能性が高くなる事が発見され、久しいです。

 では、ヒト以外の動物は、どのように寝ているのでしょうか?

 

 眠る事は、外敵のいる野生動物にとっては、基本的に無防備で危険な行為です。

 また、眠ってしまうと食事や移動も出来なくなってしまいます。

 

 このような問題を解決する為に、動物の中には、ヒトとは異なるユニークな睡眠を行う種がいます。

 水面に上がらないと呼吸が出来ないイルカやクジラ、何日も海の上を飛び続けなければならないカモメやアホウドリ等の渡り鳥は、大脳の左半球と右半球とが交互に眠る半球睡眠を行います。

 常に、左右どちらかの脳が起きている為、眠りながら、泳いだり、飛んだりする事が出来るのです。

 

 水族館で飼育されているマグロは、夜間に6秒程、泳ぐ速度が落ちる事があります。

 その6秒の間に、マグロは寝ていると考えられています。

 魚類や両生類、爬虫類の睡眠は、脳波によって睡眠中かどうかを区別する事が困難な事が多い為、睡眠様状態と呼ばれています。

 

 キリンやゾウは、1日に2~4時間程しか眠りません。

 しかも、睡眠の大部分は立ったままで、横たわって眠るのは、ごく短いレム睡眠中に限られます。

 その一方、コアラは、1日に18~22時間程も眠ります。

 

 

 このように、睡眠のスタイルや量は、動物により様々ですが、哺乳類や魚類等の脊椎動物は、例外なく眠ります。

 軟体動物や昆虫、線虫等にも、睡眠と呼べる休息がみられます。

 

 この事から、動物の進化上、睡眠には、リスクや不利益を上回る大きな利点があった事が理解する事が出来ます。

 睡眠の起源はわかっていませんが、ノンレム睡眠中に行われる脳のメンテナンスが、睡眠の最も本質的な役割であると現代の科学では考えられています。

 たくさん寝て、たくさん食べ、たくさん動く。

 これが、最も効果的な健康を維持する方法です。