「どうなれたら楽しいか考えて。楽じゃなく、楽しいを考えて。」
「ヘイ、ペース、アゲてアゲてー。」
「ハリキッてんなー…」「俺今日対人パス木兎(あいつ)となんだけど。やりたくねー。」「マジ過ぎんだよな…」「おい近道しようぜ。」
「ラスト3周~」
『ハイキュー』木兎の子ども時代のコーチの言葉と、木兎の言葉、木兎と同じ中学バレー部の人達の言葉、再び木兎の言葉です。
私は、後ろを見たら誰もついて来ていない事に気付いた木兎が、怒るわけでも、悲しむわけでも、不安を感じるわけでもなく、ただ前だけを見て再び1人で走り出すこのシーンが大好きです。
あなたが、正しい事を言っているにも関わらず、それが理解されなかった時、イライラしたり、落ち込んだりするのはやめましょう。
人生の時間は限られているのだから、神様が全ての人に平等な知性を与えなかった事を嘆く時間はありません。
正しい事は、たとえ人に認められなかったとしても、正しいのです。
正しい事を言った自分を信じましょう。
…木兎さんは、不思議だ。一見大雑把な人で、目立つプレーを好むのに、下っ端1年のただのミスプレーに興味を持つ…
「何だか意外です。」
「何が?」
「リバウンドって地味じゃないですか?木兎さんはドカンと一発で決めたいとか、対3枚ブロック燃えるみたいなタイプっぽいのにと思って。」
「楽じゃなく、楽しいを考える。昔クラブチームのコーチが、いっっっっつも言っててさ。アレコレやんなさいって言われてやるの好きじゃなかったけど、それはこうスッと入ってきたんだよね。ブロックされんのも、レシーブミスんのも、サーブミスんのも、バテンのも、楽しくない。全部決めたい。全部拾いたい。全部勝ちたい。」
…木兎さんの言う楽しいというワードは、その響きと裏腹に、すごく困難な事に聞こえた…
『ハイキュー』赤葦の脳内言葉と赤葦と木兎の会話、そして、再び赤葦の脳内言葉です。
赤葦の言葉通り、正しいも、楽しいも、その響きとは裏腹に、とても困難なものです。
正しいも、楽しいも、誰に認められなくても、誰もついて来なくても、1人で前だけ向いて走り続けた者だけが、手にする事が出来る希少な能力です。