1994年東アフリカの小国ルワンダで、人類史上稀にみない悲劇が起こりました。
多数の部族が少数派のツチ族を殺し始め、100日間で80万人以上が命を落としました。
最終的にルワンダの人口は20%以上も減少し、戦犯を処罰する裁判は現在も続いています。
私自身大学生の頃2年程休学をし、世界中を自転車で周りたいという希望を持っていましたが『ホテルルワンダ』という映画を観て、「これは命を落とすな。」と感じ、断念した記憶があります。
特筆すべきは、その殺し方の残虐さです。レイプや腕や足を切り落とす等の行為が、当たり前のように繰り返されており、ツチ族の人達が命を乞うことはせず、一振りで殺してくれとお願いをしているような光景が繰り返されていました。
まさに、この世の地獄です。生存者が抱えるトラウマの大きさは計り知れないことが想像に難くありません。
ペンシルベニア大学研究チームが、生存者100人に「最悪の事件により、精神状態に変化はあったか?」を尋ねました。
その答えは意外なもので、全体の39%が「事件のおかげで新しいアイデアを思いつきやすくなった。」「前向きな気持ちになった。」とポジティブな変化を報告しました。
研究チームは「トラウマのストレスが過去の古い思考を崩し、被害者の気持ちが新たな可能性に向き直ったのではないか。」と推測をしています。
もちろん、このデータは虐殺を正当化するものではなく、現在もPTSDに苦しんでいるケースも複数見られました。
悲劇への反応は人それぞれであり、一般化は出来ません。
その一方、虐殺のような地獄でも、成長の糧に出来た被害者が39%いたことも事実です。
ルワンダ程、極限のケースでなくても、日々の苦痛が精神を成長させる例は、複数確認されています。
これは心的外傷後成長と呼ばれる現象で、ネガティブ体験には認知のコントロールスキルを発達させる働きがあり、苦境をくぐり抜けた多くの人は回復力を手に入れることが出来ます。
人生の逆境があなたの成長に役立つのは、間違いのない事実です。