正しい選択をするんじゃなくて、選んだ道を正解にするんだ。だからさ‥選んだ先がバラバラになっても、次逢う時は進化してんのが礼儀2

 

 「世の中には巡り合わせがあるものです。強く会いたいと願っていれば。」

 『宝石商リチャード氏の謎鑑定』リチャードの言葉です。

 

 7歳のサッカー選手を夢見る少年2人は、ともに親がナイジェリア人で、育ちも同じロンドン南東部でした。

 7歳から憧れのチェルシーの下部組織に所属し、2人はどこに行くにも常に一緒でした。

 少年から青年に育った彼らは、共にブルーズのユニフォームを着て、憧れのプレミアの舞台に立ちます。

 しかし、ビッグクラブゆえ、ともに出場した試合では存在感と結果を示すものの、ブルーズで確固たる地位を築く事は出来ませんでした。

 出場機会が減少した2人は、憧れのチームと舞台から離れる決断をします。

 1人はミラノ、1人はローマへ、偶然か必然か、運命は新たな挑戦地でも、2人を離す事はありませんでした。

 祖国を離れ、苦労を重ねた2人ですが、そのような中でも、2人は毎日連絡を取り合い、互いを励まし、互いを認め合い、互いを奮い立たせてきました。

 その結果、1人はチームを11年振りのスクデットに導き、1人は17ゴールを記録し得点ランキング4位に輝きました。

 

 憧れのチームと舞台を離れる決断をし、挑戦の地で結果を残した2人は、イングランド代表に呼ばれました。

 そして、ネーションズリーグ・イタリア戦、2人は揃ってスタメンとして国を代表してピッチに立ち、戦いました。

 これも運命のいたずらなのか、2人が初めてスタメンをした代表戦の相手は、2人が新たな挑戦地として選び戦い、そして2人を育てたイタリアでした。

 また、実況も北川さんであった為、イングランドVSイタリアを観ているにも関わらず、セリエAを観ているかのような錯覚をしてしまうとともに、イタリア推しとしては、イタリアで活躍した選手がイタリア以外の代表として戦う姿に、誇らしさを感じてしまいます。

 さらに、戦いの舞台はウルブスのホーム・モリニュースタジアム。

 このスタジアムは、後にミラノで活躍する少年がプレミア初ゴールを決め、後にローマで活躍する少年がハットトリックを決めたスタジアムです。

 

 これは、トモリとエイブラハムの物語です。

 フットボールを観ていると、時折、このようなフットボールだけでは語り尽くす事が出来ない、人生の物語に出逢う事があります。

 1人1人の選手が、この舞台に立つまでの物語を振り返ると、自分の人生の指針になる事もあります。