「じゃんけんのグーとチョキとパー、一番強いのはどれだ?」
「あ?んなモンどれも同じだろーが。いくら強くても相性で負けるって話か?」
「そうではない。むしろその逆だ。相性差などという高度な問題は、実力が同等でなければ発生しない。」
「策を練り完璧に弱点を突いたとしても、弱者の刀は強者の体には刺さらない。いくら本人にとって短距離走が苦手だろうと、陸上選手が素人に100m走で負ける道理はないだろう?」
「オレが素人同然だと?」
「そこまでとは言わん。だが敵と同等とは言えんだろうな。」
「んなもん相手を見なきゃわかんねえだろうが!」
『ジャンケットバンク』村雨と獅子神の会話です。
自分を大切にする気持ちの事を、心理学において「自尊心」と呼びます。
「自尊心」は、自分の事を誇らしく思い、自分の事を好きになる事で、どんどん高まっていきます。
実は「自尊心」は、年収にも大きく影響を及ぼします。
ナポリ大学に所属するフランシスコ・ドラゴは、1980年と1987年の2回「自尊心」の高さを測定するテストを行い、1988年時点での年収についても、調べました。
下記は、研究対象者の1988年時点での時給賃金を示したものです。
☆1980年 自尊心中央値以下:781セント 自尊心中央値以上:888セント
★1987年 自尊心中央値以下:763セント 自尊心中央値以上:914セント
この研究により「自尊心」の高さは、確かに年収に大きく関係している事が、理解出来ます。
「自尊心」が高い人の方が、たくさんお金を稼いでいるのです。
では、何故「自尊心」の高い人は、たくさんのお金を稼ぐ事が出来るのでしょうか?
その理由は「自尊心」の高い人は、自分の事を大切に思っているからです。
自分の事を大切に思っているのであれば、自分自身の為に、一生懸命に働く事が出来ます。
大切な自分自身の為に、一生懸命働けば、大切な自分自身が、もっと幸福な生活を送る事が出来ます。
自分自身を大切に思えば、自分の人生に手を抜く事等、出来なくなるのです。
日本では、いまだに「会社の為に身を粉にして働く」事が美徳のように思われています。
しかし「会社の為に働く」必要はありません。
「会社の為に働く」のではなく「自分の為に働く」事が正解です。
その理由は「自分の為」だと思えば、本気で仕事に取り組む事が出来るからです。
社長を除き、誰もが「会社の為」と言われても意欲は湧きませんが「自分の為」と思えば手を抜く事は出来なくなります。
メンフィス大学に所属するエドワード・バーショーは、16の会社で働くセールスマン1,300名を対象に、調査を実施しました。
その結果「会社の為に働く人」よりも「自分の為に働く人」の方が、セールスマンとしてのパフォーマンスが高い事が判明しました。
「自分の為に働く人」の方が、実績が高く、お客様との関係も良好で、業界や商品知識等も高かったのです。
何故「会社の為に働く人」よりも「自分の為に働く人」の方が、仕事のパフォーマンスが高くなるのでしょうか?
「自分の為」になるのであれば、セールス能力を磨こう・商品知識を高めよう等という気持ちになり、仕事へのモチベーションも上がるからです。
これに対し「会社の為に働く人」は、自分の技術や知識を磨こうとは思いにくいものです。
何故なら「会社の為に」1人で頑張ったとしても、会社の利益が上がる事は、殆どないからです。
会社は自分1人で成り立っているわけではない為、頑張って会社に貢献をしたとしても、目に見える利益がすぐに出るわけではないのです。
「会社の為に働く」という言葉は、耳障りが良いですが、それでは本気で仕事に取り組む事は出来ません。
あなたが本気で仕事に取り組みたいのであれば「自分の為に働く」事を、心掛けてみてください。
「‥まあいい。弱い者が負ける理由にはパターンがあるが、強い者が勝つ理由は千差万別なのだ。だからこそ怯むな。敵の強さの掴めなさに。」
「‥ナルホドな。思いやりに目覚めたってのは、嘘じゃなかったのか。弱ぇ奴は、ゴチャゴチャ泣き言言わず、勝てる理由を自分で見つけろってワケだ。」
『ジャンケットバンク』村雨と獅子神の会話です。