無理に笑わなくてもいいという甘え方

 「この人は亭一さんの前にいる時のほうが、俺といる時より仏頂面をしている気がする。そういう甘え方もあるんだろうか。ありそうな気がする。誰だっていつもニコニコしていたいけれど、いつでも笑っていられるわけじゃないのだから。彼女にとって亭一さんが、目の前で無理に笑わなくてもいい相手なのかもしれない。」

 小説『宝石商リチャード氏の謎鑑定』の一説です。

 笑顔ですり寄ったり、泣いて助けを求めるだけが、甘え方ではありません。

 目の前で無理に笑わなくてもいいという甘え方もあります。