…魔王を倒した勇者一行のその後…
…魔法使いフリーレンは、エルフであり、旅をした3人とは違う部分があります。彼女が「後」の世界で、生きること、感じること。そして、残った者たちが紡ぐ、葬送と祈りとはー…
…物語は、冒険の終わりから始まる。英雄たちの生き様を物語る、後日譚(アフター)ファンタジー…
『葬送のフリーレン』プロローグです。
「桜散る 木の下風は 寒からで 空に知られぬ 雪ぞ降りける」
紀貫之『拾遺和歌集』の和歌です。
「空に知られぬ雪」とは、舞い散る桜の花びらを、空から降らせた覚えのない雪にたとえた言葉です。
桜を観ていると、私は、桜と人生を重ねて考えてしまいます。
どちらも、美しく咲き、散った後の、時間や人生の方が長いのです。
私は、大学生の時から日曜7時から放送されている『僕らの時代』という番組が好きで、現在も観ています。
そこで、殆どの回において、話題になるのが「仕事を始めたきっかけ」です。
ジャニーズであればジャニーズになろうと思ったきっかけ、芸人であれば芸人になろうと思ったきっかけ、俳優であれば俳優になろうと思ったきっかけという様に…。
また、結婚をした人に対しては「どうやって知り合ったの?」等と始まりの物語を聞く事が多いです。
これは『僕らの時代』に限らず、久しぶりに会った友人や仲良くなりたいと感じている仕事で関わる人等においても、多くの人がする質問ではないでしょうか?
しかし、私は、始まりの物語は「もういいかな」と感じてきています。
別の言い方をすれば、始まりの物語を聞いた所で、若しくは私が話した所で、互いに学ぶ所が少ないのです。
夫婦に対して「どうやって知り合ったの?」ではなく「どうやって、ずっと一緒にいるの?」と尋ねてみてはいかがでしょうか?
実は、始まりの物語より、冒険の終わりからの物語の方が、真に誇るべき功績が隠されています。
始まりの物語の方が、エキサイティングでロマンチックかもしれません。
しかし、他人のロマンチックな物語から、学ぶべき事は、意外に少ないものです。
それよりも、その後の物語を、どのような行動や工夫により、ページを重ねているかの方が、学ぶべき事が多くあります。
始まりの物語ではなく、冒険の終わりからの物語を聞いてみて下さい。
学ぶべき事が聞ける可能性が高まるとともに、あなたの視野が格段に拡がる事を、約束します。
「あの子、ヒンメル様の仲間なんだって?悲しい顔一つしないなんて、薄情だね。」
「おやおや、私達もしていませんよ。」
「司教はまじめにやれ。」「この薄情者。」
「はっはっはっ手痛いですな。」
「‥だって私、この人の事、何も知らないし‥たった10年一緒に旅しただけだし‥。」
「人間の寿命は、短いってわかってたのに‥なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう‥。」
『葬送のフリーレン』街の住人とハイターとのやり取り、そして、フリーレンの言葉です。