ユーロに臨むフランス代表に、6年振りにベンゼマが呼ばれました。
ベンゼマは、2015年代表の元同僚へのセックステープ恐喝事件に関与したとして逮捕されました。
裁判で無罪判決が出たものの、規律を重んじるデシャン監督は、これまで幾度も復帰待望論が出ていたマドリーのエースを代表に呼ぶことはありませんでした。
マドリーのエース不在でも、フランス代表はユーロ2016準優勝、ワールドカップ2018優勝という実績を出しており、デシャンの選択は正解であったと言えます。呼ばないという選択が、チームの力を上げることがあることも、フットボールの奥ゆかしさです。
しかし、デシャンは、近年の安定したパフォーマンスとピッチ内での態度を評価し、考えを改め、ユーロに臨む代表にベンゼマを招集しました。
チームは、個の実力が突出した選手だけを集めれば強いわけではない所が、フットボールの奥深い所です。
たとえば、ネイマールが11人いるチームよりも、マルキーニョスが11人いるチームの方が、強いでしょう。
それでも、近年のパフォーマンスをマルシャルと比較した場合、圧倒的にベンゼマの方が、チームへの貢献も結果も残しています。
「私の選択は、フランス代表の利益に基づいている。競争は存在するし、常に存在していた。」
個人の感情よりも、フランス代表が結果を出すことを優先したデシャンの決断は、リーダーの決断です。
「旅団(クモ)では、オレが頭でお前達は手足、手足は頭の指令に対して忠実に動くのが大原則だ。それは機能としての話で、生死の話ではない。例えば、頭が死んでも誰かが跡を継げばいい。場合によっては、頭より足の方が大事な時もあるだろう。オレも旅団の一部。生かすべきは、個人ではなく旅団。」
生かすべきは、監督個人ではなく、フランス代表。
デシャンの選択をみて、再び『HUNTER×HUNTER』幻影旅団団長クロロの言葉が頭を過ぎります。