「ーにしても、青葉城西強かったな。」
「ああ。強かった。スゲェ強かった。今回俺達は、いい勝負できたけど、次また戦った時、今回と同じくらい善戦できるかは、わかんねぇ。でも、青城は同じだけの強さを安定して発揮してくるんだろう。向こうのTO(タイムアウト)中の様子見たか?」
「ああ‥殆ど選手だけでミーティングが成立してた。」
「監督達は、後ろから様子窺って、そりゃあ助言はするんだろうけどさ。選手が常に考えて、試合の中で臨機応変に対処していく。多分未知の相手でも、それができるんだろう。すげえ安定と柔軟性のある強さだ‥。」
『ハイキュー』滝ノ上と鵜飼の言葉です。
仕事において、メンタルが危機に晒されている時、あなたの仕事に対する「裁量権」がどれだけあるのかが重要な指標となってきます。
私自身、会社に勤めていた時、お客様からの緊急の問い合わせに対し、上司に残業をしていいか確認をしている自分に嫌気がさし「この働き方は、違うな。」と強く感じた事を記憶しています。
スウェーデンの心理学者ロバート・カラセックは、仕事におけるメンタルの危機に晒される度合いは「仕事の重要度」と「仕事の裁量権」の関係により、異なる事を明らかにしました。
「仕事の要求度」とは、会社や上司から、与えられる下記のようなものです。
★労働時間
★仕事量
★仕事で必要とされる緊張度・集中度
「仕事の裁量権」とは、仕事をする上で自由に意思決定が出来るかどうかを示す下記のようなものです。
★仕事をする時間を自由に決められるか
★仕事の量を自分で決める事が出来るか
★仕事の中で緊張する場面・集中する場面、その発揮の仕方を自分で選択出来るか
仕事において、責任が大きくなったり、要求される成果が大きくなったりすると「ストレス」も大きくなります。
しかし「悪いストレス」として、メンタルや身体に影響を及ぼすのは、その仕事に、あなたが、どれだけの「裁量権」を持っているかどうかで決まります。
ロンドン大学が、公務員を対象にした研究があります。
研究者は、公務員を2つのグループに分け、その後の2つのグループの人達の健康状態を追跡調査しました。
①タバコを吸うけれど、会社内の自由度が大きい
②タバコは吸わないが、会社内の自由度が小さい
上記2つのグループの人達の健康状態を追跡調査した所、②のグループの人達の方が、身体を壊しやすく、慢性病等に罹患する確率も高いという結果が出ました。
仕事における「裁量権」は、タバコよりも、私達の健康に大きな影響を及ぼすのです。
人の脳の内側前頭前野と線条体という部分には、自分の行動の因果関係を評価する機能が備わっています。
自分のやっている仕事に、自己決定権があると、行動が積極的になったり、失敗を前向きに捉える事が、fMRIの画像研究で明らかにされています。
仮に、あなたが転職を考えている場合「労働時間は、どこまで自由に選ぶ事が出来るのか」「仕事のペースは、どこまで社員の裁量に委ねられているのか」という2つを、必ずチェックする事を、お勧めします。
そして、これからの時代を生きていく為に、必要な事。
それは、生殺与奪の権を会社に、握らせない事です。