「知ってるからって、分かってくれるわけじゃありませんから。」
「ひとり息子のシロさんが、孫の顔を絶対に見せてくれないって分かってて、たとえ上っ面でもそういう事言ってくれる親に、ちょっとは感謝してもいいんじゃないの?」
『きのうなに食べた?』シロさんとケンジの会話です。
結婚=幸せではない事が、ようやく認識されてきた日本。
しかし、それでも多くの人の認識、また法律が、時代の価値観に追いついていない所があります。
日本では体外受精や顕微授精のような不妊治療、医学用語では生殖補助医療を受けるには、結婚している異性カップルの夫婦であるという条件があります。
生殖補助医療を受ける事で、子どもを持つ夢が叶うのは、子どもを自然と授かる事が出来ない夫婦だけではありません。
女性同士のカップルも、男性同士のカップルも、選択的シングルの人も、生殖補助医療を受ける事で、自分の遺伝子を持つ子どもを持つ事が出来るのです。
しかし、現状の日本では、結婚をしていない子どもが出来ないカップルや男性同士・女性同士のカップル、選択的シングルの人等は、自分の遺伝子を持つ子どもを事が出来ません。
少子化や多様性が日本の課題であると政治家は言っていますが、本当に少子化を改善したいのか、多様性を認めたいのか、疑問に感じてしまいます。
一方、世界の実態は、多様性を国が後押ししています。
女性の同性カップルは、提供精子を利用する事で、子どもを得る事が出来ます。
カップルだけではなく、シングルの女性でも、提供精子を利用して、子どもを得る事が出来ます。
また、同じ男性の提供精子を続ける事で、兄弟を生む事を選択しているカップルや選択的シングルの人もいます。
男性の同性カップルは、代理出産により、自分の遺伝子を持つ子どもを得る事が出来ます。
最近2~3年の海外ドラマにおいては、男性同士のカップルが子どもを持っている姿が、普通の姿になってきています。
2020年、ヒトのiPS細胞由来の始原生殖細胞から、前精原細胞を分化させる事に成功したという研究結果が得られました。
前精原細胞は、胎児に見られる細胞であり、生後は、精子幹細胞や精原細胞となり、最終的に精子を作り出します。
現在、ヒトの卵子と精子は作製出来ていないものの、その前駆細は作製出来るようになりました。
iPS細胞から、ヒトの卵子や精子が作製出来たという報告を聞くのも、時間の問題となってきています。
これにより、卵子や精子を作り出す事が出来ないカップルも、同性カップルでも、自分達の遺伝子を受け継ぐ子を、持つ事が可能となります。
さらに、理論的には、1人のヒトに由来するiPS細胞から、卵子と精子を作り、子を得る事も可能となります。
自分の努力とは関係なく、子どもが出来にくい身体の為、子どもを諦めるしかない。
自分の努力とは関係なく、同性を好きになったが為に、子どもを諦めるしかない。
自分の努力とは関係なく、生きる為に仕事を選択し1人で生きていくと決めた結果、子どもを諦めるしかない。
このような人達を、法的に支援しないのにも関わらず、何が多様性でしょうか?
異性カップルでも、同性カップルでも、独身者でも、精神的にも、経済的にも、子どもを育てる事が出来る環境が整い、子どもを欲しいと願うのであれば、子どもを授かる事が出来る世界。
私は、これが多様性であると考えています。