「己の宇宙は、誰しもが持っているものです。違いは、そこに背を向けるか、己の海として豊かに育んでゆくかでしょう。」
『宝石商リチャード氏の謎鑑定』リチャードの言葉です。
10月の誕生石は、オパールです。
オパールに光が差し込むと、内部構造に作用し、虹のような色の帯を残します。
七色に光り輝くオパールが持つこの遊色効果は、数ある宝石の中でも、オパールだけが持つ光学現象です。
オーストラリアの先住民アボリジニは、オパールは神様が虹から全ての色を取り、それを取り込んだ石であると信じていました。
ギリシャ神話では、全知全能の最高神ゼウスの涙が地面に落ちると、その涙がオパールに変わるという言い伝えがあります。
当時の人々は、七色に輝くオパールを見て、神と結び付けました。
オパールの魅力は、宝石の中に取り込まれた崇高さの世界です。
宝石の中に、別の世界を作り出している宝石は、オパール以外にはありません。
「そなたの心は、オパールそのもの。」
シェイクスピアも『十二夜』の中で、移りゆく人の心をオパールの遊色効果にかけて、表現しています。
オパールには、神と結び付ける程の崇高さと、移りゆく人の心を現す二面性があります。
若しかしたら、移りゆく弱い人の心を、支える為に、神という存在が創り出されたのかもしれません。
オパールの宝石言葉は「幸運」「忍耐」「希望」です。
10月は、作物が実りのピークを迎え、欧米では収穫祭が行われる季節です。
収穫の喜びを示すように、人々に幸福を与え、収穫するまでの忍耐力を与え、次の年も収穫の喜びを味わえるようにという希望を、オパールが与えてくれます。
また、オパールには、身に着ける人の内面の美しさや才能を引き出す効果があるとも言われています。
オパールは、結婚14周年を記念し、送られる宝石でもあります。
結婚は、外見だけの美しさでは、乗り越える事が出来ない、険しい冒険です。
結婚という険しい冒険を乗り越えるには、内面の美しさが不可欠です。
オパールには、そんな内面の美しさも、引き出してくれる力があります。