「ウサイン・ボルトは生まれた瞬間100m9,85秒で走ったか?スティーブ・ジョブズとマッキントッシュは同じ生年月日か?マハトマ・ガンディーは生まれたその日から塩の行進を始めたか?あなたのヒーローは、出生からヒーローだったか?」
「人は、育てられて何かになる。」
2週間前よりJUMPに連載が始まった『地球の子』のプロローグです。
アラスカ大学が行った研究で親が子どもに話しかける言葉の数が、その後の子どもの成長に起因するのかを調べた実験があります。
すると、経済レベルと親が話しかける言葉の数に相関関係がある事がわかりました。
専門職に就いている家庭の子どもは、1時間あたり487語の親の発語を聞いていました。
労働者層の子どもは301語、生活保護世帯の子どもは178語という結果でした。
3歳までに聞く言葉の数を積算すると、専門職に就いている家庭の子どもは4,500万語、生活保護世帯の家庭の子供は1,300万語であり、その違いは3,200万語にもなります。
また、子どもに対する親の反応にも大きな違いがみられました。
専門職に就いている家庭の親は1時間あたり250回子どもに反応していました。
これに対し、生活保護世帯の家庭の親は50回以下でした。
さらに、親が子どもを承認する言葉の数においては、専門職に就いている家庭の親は1時間あたり40回、生活保護世帯の家庭の親は4回でした。
このように親から聞く言葉の数、子どもに対する親の反応の数、親が子どもを承認する数が、子どもの将来にどのような影響を与えるのでしょうか?
結果は、親が話掛ける言葉が多い程、子どもの語彙は増え、3歳児だけではなく、その後のIQテストの点数も高くなるというものでした。
思考や学びの基礎となる脳の神経細胞の繋がりは、大部分が3歳までに生じます。
家庭の経済レベルで分類しましたが、家庭の経済レベルが高いという事は、親が子どもにあてる時間と気持ちの余裕があるという事と同義語となります。
このように解釈すると、経済レベルと子どものIQ等との相関関係が高い事が理解出来ます。
言い換えれば、経済的に余裕があまりなくても、工夫をし、親が子どもにあてる時間と気持ちの余裕を持つ事で、解決出来る問題であるとも言えます。
馬の赤ちゃんは、生まれた直後に歩き出します。
生物界から見ても、ヒトの赤ちゃん程、成長や発達が緩やかである動物はいません。
子どもの外見や能力等は遺伝による部分が、大きいです。
しかし、ヒトの赤ちゃんの成長や発達が緩やかである事は「子育ての工夫次第で子どもの将来は変わる。」という神さんからのメッセージかもしれません。