私の中のワールドカップ2

 

 「ここで彼らが僕に求めるものは違うんだ。ここでは、PSGの時よりも、ずっと自由だ。」

 「監督はジルーのような9番の存在を知っているから、僕は動いてスペースに行けるんだ。パリでは違っていて、ピボット(軸となるプレー)をするように言われる。でも、僕はどこでも楽しんでいるよ。」

 9月22日ネーションズリーグ・オーストリア戦後のエムバぺの言葉です。

 

 ワールドカップが開催しました。

 私は、ワールドカップよりも、日頃のリーグ戦やチャンピオンズ、又代表戦であればEUROの方が楽しみであり、フットボールのレベルも高い事を確信しています。

 それでも、ワールドカップが開幕すると、テンションが上がってしまうのが、フットボールを愛する者の宿命です。

 

 ワールドカップというと、何を思い出すでしょうか?

 私は、1994年アメリカワールドカップのバッジョを思い出します。

 当時7歳であった為、タイムリーで観たわけではありませんが、あの大会のバッジョの復活劇とエピローグは、フットボールとは物語である事を事ある毎に思い出させてくれます。

 

 ワールドカップ優勝予想に対し、私は常にアズーリと答えてきました。

 しかし、現ヨーロッパ王者は、大会出場を果たせませんでした。

 私の気持ちとしては、ロナウドかメッシに最後にワールドカップ優勝をしてほしい気持ちが強いですが、残念ながら、ポルトガルもアルゼンチンも、歴史上最高の選手達を招集する事が出来ていますが、フットボールとしての哲学と怖さに欠けます。

 優勝をするには、哲学か怖さのどちらかを持ち合わせる必要があるというのが私の考えです。

 

 昨日悲しいニュースが流れてきました。

 レ・ブルーにEURO2020から復帰した2020-21シーズン最高のセンターフォワードであったベンゼマが怪我により、ワールドカップ出場が絶望的になったというニュースです。

 フランスは怪我人が続出しており、メニャン、カンテ、ポグバに加え、世界一のセンターフォワードも失ってしまいました。

 

 しかし、私はこれをレ・ブルーの追い風と捉えています。

 ベンゼマもエムバぺも、ボールを触りながら、ゴールに近づいていく選手である為、代表において2人が重なり合う場面が少なくありませんでした。

 エムバぺが活かされる側に徹底すれば、ベンゼマ・エムバぺコンビは上手くいきますが、現在のエムバぺにそのような役割を全うして貰う事は困難です。

 その点、ジルーであれば、エムバぺを活かし、活かされる9番の役割を90分間全うしてくれます。

 

 思い返せば、優勝をした前回大会もエムバぺ・デンベレ・グリーズマンの夢の3トップで臨みましたが、機能せず、デシャンは途中からエムバぺ・ジルー・グリーズマンの再現性可能な3トップに切り替えました。

 夢の3トップを諦め、自陣で強固な守備を固め、攻撃は3人に任せるという割り切りが、前回大会優勝の最も大きな要因であると私は分析しています。

 フランスのフットボールに哲学はありませんが、攻撃を3人に任せるという割り切りが出来るのであれば、怖さはあります。

 

 私は、ワールドカップ優勝は、フランスになると予想しています。