私の中のEURO10

 

 「‥ロジャー‥ガープ‥センゴク‥‥あの頃の海を知る者は、もうずいぶん少なくなった。」

 「22年経った‥当然だ‥!!」

 「おめェもよく成り上がったモンだぜ‥。ゴール・D・ロジャーの船の‥ただの見習いだった小僧がよ‥!!!」

 『ONEPIECE』白ひげと赤髪の会話です。

まな on X: "シキについて 尾田先生 『原作で、シャンクスと白ひげが会談するシーンの台詞の中に登場予定でした。でもその時入れ込む事が出来なくて。  キャラクター自体ハッキリとしたビジュアルも無かったので、この映画で足りない部分を形にしていった感じです ...

 

 

 1998年ワールドカップで世界を知り、EURO2000でフットボールの真髄を知り、そして、EURO2004から、その舞台で緊張し、躍動し、泣く姿を重ねる選手達は、生活に欠かせないものになってきました。

233点のCristiano Ronaldo Euro 2004の写真と高解像度写真 ...

 

 「マヌエル・ルイコスタ!!ゴールデンエイジの最後の意地!!」

 EURO2004ポルトガルVSイングランドの、柄沢さんの実況は、現在でも脳裏に焼き付いています。

 

  …ジダン‥フィーゴ‥ルイコスタ…

 あの頃の、フットボールを知る者は、もう随分少なくなりました。

 20年経ちました。当然です。

 

 

  …ロナウド‥ルーニー‥ロッペン…

 EURO2004は、新しい時代への、転換点でもありました。

 複数の若きスターが誕生し、そのスター達が、大会後、ヨーロッパの舞台「新世界」へと雪崩れ込む事で、フットボールは劇的な進化を遂げます。

 

 恐怖すら感じさせたモウリーニョ・チェルシー、フットボールは恐怖と緊張の中でやるものではない事をその笑顔により世界中に気付かせたロナウジーニョ、そして、史上最高の選手の誕生とともに生まれた最強バルサと無敵艦隊スペイン代表。

 

 

 

 私達は、恵まれた時代を生きてきました。

 メッシと、ロナウドの全盛期を、リアルタイムで、目撃出来る時代を。

 2人によるバロンドールの独占が続いた2008年~2017年までの10年間は、フットボール史に深く刻まれる歴史的な10年であった事は、間違いないでしょう。

 

 あの頃のフットボールを知る選手で、今回のEURO2024年に、出場したのはロナウドだけです。

 私は、ロナウドへの感謝の気持ちも込めて、今回の優勝国予想を、ポルトガルとしました。

 しかし、ポルトガルは、ベスト8で、フランスにPK戦の末、破れてしまいました。

 

 

 「緊張してるな。古橋くん。大丈夫だよ。君と市川くんには、大怪獣相手にも十分立ち回れる実力を身に付けさせたから。」

 「わかってます。ちゃんとそれを発揮しないとー」「古橋くん。」

 「僕はね、あらゆる要素が下振れした時に出る最低限の結果、それを実力って呼んでる。しっかり緊張して、失敗して、安心して下振れしてきなさい。それで十分に、君は通用するよ。さぁ行こうか。」

 『怪獣8号』緒方と古橋の会話です。

怪獣8号】古橋伊春のプロフィール【解放戦力・専用武器を徹底解説】 | 「ワンピース考察」マンガ大好きドットコム

 

 

 マドリー時代の最後の数年間と、ユーベでの3年間、さらにユナイテッド・サウジでのプレイの中、ロナウドが90分間において、チームに与えるプラスの影響は、殆どなくなってきました。

 そのドリブルは相手を抜き去る事が出来なくなり、ボールを持ってもその持つ意味がチームに還元されず、出すパスの選択肢も日に日に少なくなっていきました。

 それでも、あらゆる要素が下振れをしてもゴールという最低限の結果を出す事で、その価値を示し続けてきた男。

 それが、ロナウドです。

 

 しかし、EURO2024においては、その最低限の結果も、残す事が出来ませんでした。

 ポルトガル代表は、進化していました。

 前回のEURO2020においては、ゲームを完全に支配され、PKの2得点で予選において何とかドローに持ち込む事が出来なかったフランス相手に、今回はゲームを支配する事が出来ました。

 

 中でも、パリに馴染む事が難しく、ネイマールに怒られていたヴィキ―ニャの成長が、長年パリを観てきた私からすると嬉しいものでした。

 

 ロナウドとメッシのいないヨーロッパでの1年間は、やはり味気がないものでした。

 ロナウドがいないポルトガル代表を観たいかと問われたら「NO」です。

 しかし、最低限の結果も残す事が出来なかったロナウドとの別れが、ポルトガルが次のステージに行く為には、必要かもしれません。

 奇しくも、ロナウドが台頭したEURO2004に、ゴールデンエイジとの世代交代が行われた様に。

 

 

 ロナウドのEUROは、今回で最後になる事でしょう。

 モドリッチは、代表引退を表明しています。

 クロースは、現役引退をしました。

 

 ニコ・ウィリアムズは、予選イタリア戦を前に記者に「イタリアの印象は?」と聞かれたら「バロテッリ。」と答えました。

 ロナウドに憧れた、フランスの少年は、フランス代表のキャプテンとなり、憧れの男と肩を並べ、今季からはマドリーのユニホームを纏います。

 

 

 今回のEUROは、前回のEURO程、発見や楽しさがありませんでした。

 フランス代表も、イングランド代表も、イタリア代表も、前回のEUROの時の方が、強く、フットボールの進化を感じさせてくれました。

 代表のクラブチーム化から、また勝つチームは、変化してきています。

 

 

 「どんな敵にくれてやったんだ?その左腕‥。」

 「‥‥コレか。」

 …おれは、いつかこの一味にも負けない仲間を集めて!!海賊王になってやる!!!…

 「…新しい時代に、懸けて来た…。」

 『ONEPIECE』白ひげと赤髪の会話です。