「…そこそこレベル上げたのに、それを一回横に置いて、またレベル1から始めるって、辛くないかい?」
「んー‥でも、レベル上げ好きです。できるようになるの何回でも楽しいです。」
「自分に言い聞かしてない?」
「そっそんなことはっ」
「ふーん。」
『ハイキュー』及川徹と日向の会話です。
ある陶芸クラスの初日、生徒を2つのグループに分け、一方は作品を「量」で評価し、もう一方は「質」で評価すると告げられました。
量のグループは最終日に全作品を提供し、各自、総重量が50ポンド(23㎏)なら「A」、40ポンド(18㎏)なら「B」と評価されます。
質のグループは、質のみによる評価の為、自分で最高であると思う作品を1つ提出すればよいというものでした。
その結果、面白い事実が明らかになりました。
全作品中最も「質」の高い作品を出したのは、「量」を求めたグループだったのです。
量のグループは、実際に作品を次から次へと作って試行錯誤を重ね、粘土の扱いも上手くなっていきました。
しかし、質のグループは、最初から完璧な作品を作ろうとするあまり頭で考える事に、時間を掛け過ぎてしまいました。
質のグループが残したのは、壮大な理論と粘土の塊となってしまったのです。
似たような現象は、社会の至る所で見られます。
たとえば、政治家の間で「制服の着用は規律を高める要因になるか」という議論があったとします。
このような場合、政治家はすぐに心理学者に意見を聞き、高い役職の人間を集め、会議を開きます。
これこそが、まさに無駄に綿密なトップダウン式のやり方となります。
時間を浪費するわりに、得られるものは、粘土の塊でしかありません。
本来、彼らがすべきなのは、検証作業であり、何をどうすれば本当に規律が高まるのか、何が役に立たないのかを1つ1つ実際に試す事です。
勿論、失敗の数は増えます。
しかし、失敗の数が多いからこそ、多くの事を学ぶ事が出来るのです。
売れるミュージシャンになりたいのなら、まずは酷い曲をたくさん作り実際に演奏し、歌う事です。
プロのスポーツ選手になりたいのなら、まずは試合にたくさん出場し、たくさん負ける事です。
勉強が出来るようになりたいのなら、まずはテストをたくさん受け、悪い点数を取る事です。
早い段階で試行錯誤するプロセスは、仕事においても、通ずる部分が大きいです。
その根本は、非常にシンプルであり、検証と軌道修正のプロセスの繰り返しです。
失敗をする事は、怖い事ではありません。
失敗を恐れ、準備ばかりしていては、準備だけで一生が終わってしまいます。
まずは、たくさん動いてみて、失敗を経験し、そこから検証と軌道修正を重ねていく。
辛い時もあり、否、辛い時の方が多いと思いますが、上記の世界観を日向のように、自分に言い聞かせてみて下さい。
その実践が、成功への1番の近道です。