「元気ないわね。嫌五。零さんに怒られたって?」
「ん‥外でパンツマンごっこしてただけなのに‥。」
「零さんに、同情するわ。」
「あーあ、いっそお師匠が、お母さんだったら良かったな。」
「あら、私だったら、もっと怒ってるわよ。多分手も上げてる。」
「そーじゃなくてさー、母さんは、兄弟みんなの母さんだけど‥もし、お師匠がお母さんなら、母さんを独り占めできるもん。」
『夜桜さんちの大作戦』嫌五の師匠・虎狼と嫌五の会話です。

カウンセラーとして、仕事をしている中で、仕事・恋愛・お金・子育て等、相談を受ける話の内容は多岐に渡ります。
その中でも、圧倒的に多いのは、家族・上司・部下等といった、身近な人間関係にまつわる問題です。
心理学やカウンセリングの知識のある方であれば、そうした問題の原因の多くが「親」との関係に行きつく事は、よく御存知でしょう。
子どもは、世界観や考え方、さらには、感情の受け止め方まで「親」の姿を真似して成長していきます。
「思春期の頃の人間関係」も、無視出来ません。
思春期は、意識が、親(家庭)を離れて、社会に向き始める時期です。
そこで、自立した人間になる為に、主に、学校で他者との関わり方を学んでいきます。
この時期の友達関係は、その後の人生における人間関係に、大きな影響を与えます。
私自身、カウンセリングをしていく中で、まずは「親」との関係に着目し、次に「思春期の頃の人間関係」に着目します。
ところが、稀に、上記の2つだけでは、説明しきれない問題に遭遇する事があります。
それが「兄弟姉妹」の関係です。
「兄弟姉妹」の関係は「親」との関係以上に、複雑です。
生まれた順番・男女の組み合わせ・年齢差等に加え、それぞれの兄弟姉妹の性格・知能や運動能力・親との距離感等、様々な要素が絡み合うからです。
「親子関係」「思春期の頃の人間関係」は「上下関係」の基礎となります。
上司との関係は「親」との関係を、投影します。
たとえば「いつも上司(男)と揉めてしまう」という悩みを持つ男性が、カウンセリングに来れば、私は「父親との関係はどうでしたか?」と質問をします。
職場の先輩・後輩との関係は「思春期の頃の人間関係」が、影響する事が多いです。
「職場の先輩・後輩と、上手く人間関係を構築出来ない」という悩みを持つ女性が、カウンセリングに来れば、私は「中高生の時の上下関係はどうでしたか?」と質問をします。
「親子の関係」が「上下関係」の基礎であるなら「兄弟姉妹の関係」が「横の繋がり」の基礎となります。
小中高生時代の、クラスを思い出してみて下さい。
学級委員を務めたり、学校行事等でリーダー役を買って出たり、部活等のキャプテンをやる「頼れる同級生」は、第一子(兄・姉)が、多かったのではないでしょうか?
また、クラスの人気者やムードメーカー等で、皆に笑顔を提供していた同級生は、末っ子(弟・妹)である事が、多かったのではないでしょうか?
さらに、その後の人生を追いかけてみれば、リーダー役を務めていた第一子(兄・姉)は、家庭や仕事でも、リーダー役を担っている事が多いです。
皆に可愛がられていた末っ子(弟・妹)は、職場でも、場の空気を和ませる「いじられ役」を続けているのではないでしょうか?
勿論、全てのケースに当てはまるわけではありません。
それでも、兄・姉はしっかり者になってリーダー役に、弟・妹は人懐っこい所作で可愛がられるタイプになる事が、少なくありません。
それは、まるで、子ども時代に家庭の中で、担っていた役割が、学校や社会の中でも引き継がれ、上手く収まるように仕組まれているかのようです。
この続きは、また後程。