「俺の唯一の心残りは、お前だったなあ。何だあ、ここは地獄か?」
「お兄ちゃあん、嫌だ。ここ嫌い。どこなの?出たいよ。何とかして。そっちが出口?」
「お前は、もう俺についてくるんじゃねえ。」
「な、なんで待ってよ、アタシ…。」
「ついて来んじゃねえ。」
「さっきのこと怒ったの?謝るから許してよ。お兄ちゃんのこと醜いなんて思ってないよォ。悔しかったの、負けて悔しかったの。アタシのせいで負けたって認めたくなかったの。ごめんなさい。うまく立ち回れなくって。アタシがもっとちゃんと役に立ってたら、負けなかったのに。いつも足引っ張って、ごめんなさい。ねぇお兄ちゃん。」
「お前とは、もう兄妹でも何でもない。俺はこっちに行くから、お前は反対の明るい方へ行け。」
「嫌だ。嫌だ。離れない。絶対離れない。ずっと一緒にいるんだから。何回生まれ変わっても、アタシはお兄ちゃんの妹になる。絶対に。アタシを嫌わないで。叱らないで。一人にしないで。置いてったら許さないわよ。わぁぁあん、ずっと一緒にいるんだもん。ひどいひどい。約束したの覚えてないの?忘れちゃったの?」
『鬼滅の刃』命が尽きた後、自分は地獄に行くから妹には自分とは違う道に進んでほしいと願う、上弦の陸の鬼・妓夫太郎と妹・梅との会話です。
家族には、役割があります。
①ヒーロー/ヒロイン
②犠牲者
③傍観者
④問題児
⑤チャーマー
多くの場合、家族の中の誰かが、この中の1つ以上の役割を担います。また、1人が役割を複数担う事もあれば、時とともに、役割が変化する事もあります。
そして、この役割は、家族だけに限らず、学校や仕事、スポーツのチーム等においても、当てはまります。
④問題児は、家族の中で何かと問題を起こす存在で、厄介者の烙印を押されている存在です。
正論を振りかざす父親に反発して、学校で問題ばかり引き起こす息子等が該当するでしょうか。
家族からは疎まれ、時には嫌悪されるので、迷惑ばかり掛けて役に立たないように見えますが、実は、家族が(無意識に)抱えている問題を一手に引き受けている存在でもあります。
つまり、それぞれの家族が潜在意識の奥に抱えている問題を、問題児がわかりやすく表現してくれていると言い換える事も出来るのです。
これは非常に重要な役割で、家族には問題児が見せる問題を、彼・彼女だけのものとして捉えるのではなく、家族1人1人が自分の問題として認識する事が求められます。
このように当事者意識を持つ事により、家族の結束が固まるだけではなく、家族全員がより幸せな状態になっていきます。
学校や仕事、スポーツ上のチーム等、家族以外の組織では、問題児を追放することもあります。
しかし、しばらく経つと、別の人が問題児となります。
それは、人が組織となると、チームメンバー全員のネガティブな部分を問題児が背負う仕組みになっているからです。
また、問題児が抱える問題は、悪さや迷惑行為だけではありません。
病気で倒れた母等のように、病気やケガという形で現れる事もあります。
「俺たちは、二人なら最強だ。寒いのも、腹ペコなのも、全然へっちゃら。約束する。ずっと一緒だ。絶対離れない。ほら、もう怖くないだろ?」
再び『鬼滅の刃』妓夫太郎の言葉です。