私は私を捨て、なりたい私となる

 

 「現実とは、君が脳で解釈した電気信号に過ぎん。」

 『マトリックス』モーフィアスの言葉です。

 

 脳の機能とは、未来を予測して、予測と結果の誤差を埋めるものです。

 予測と結果の誤差がない場合、私達は無意識の中で行動しています。

 意識は、予測と結果の誤差が発生した時に生じるのです。

 

 たとえば、ペンを握ろうとすると、その時点で血圧や血糖が上昇し、ペンを取ろうとすると手に筋肉にエネルギーが入ります。

 この一連の行為は、無意識の中で行われます。

 誰も「ペンまであと10㎝。」「親指から握ろう。」「ペンの先端を掴むぞ。」等とは考えないものです。

 

 しかし、ペンを手にとった瞬間、ペンが思った以上に軽かったらどうでしょうか?

 「インクが入っていないのかな?」等と考え、ここで初めて意識が働きます。

 このように、意識は予測と結果に誤差が生じた時に初めて生じます。

 

 これまでの科学では、ペンが目の前にあるから、その情報を網膜で受け取り、脳に映し出して認知していると考えられてきました。

 しかし、実際は物があるから見えるのではなく、脳が物を見ようとするから見えるように出来ているという事が、最新の科学では常識になってきています。

 

 

 生後何十年もの間、目が見えなかった人が白内障の手術を受けて視力を得たにも関わらず、開口一番「何も見えない。」と言ったという例が複数報告されています。

 目の前に物があっても、脳が予測していないから見えないのです。

 つまり、目の前にペンがあるから認知しているのではなく、脳がペンがあると予測し、見ると決めないとペンを見る事が出来ないのです。

 

 脳には事前に予測した世界があり、その予測通りであると、私達は無意識のまま動く事が出来ます。

 無意識で行動する事が出来れば、そこには様々な思考で私達を苦しめる私がいなくなります。

 私がいない状態を作る事が出来れば、目の前の勉強や仕事にのみ集中する事が出来ます。

 

 

 筋肉を酷使すれば動けなくなるように、意識も使い過ぎると、集中を続ける事が出来なくなります。

 鬱病等を発症する人の脳内では、この状態が起こっています。

 たとえば、徹夜して書き上げた企画書を上司から「やり直し。」と一蹴される。契約を取っても、一向に評価されない。

 このような事が繰り返され「もっと頑張らなきゃ。」等と思っても、予測と結果の誤差が続き、意識を酷使し過ぎている為、集中力が続きません。

 注意散漫となり、普段ならしないミスを連発し、さらに怒られる。

 予測と結果の誤差は、さらに拡がり、朝起きられなくなり、会社に行けなくなり、鬱病を発症するというのが多くの鬱病発症者で見られるプロセスです。

 

 しかし、現代医療は脳内で起こっている事を無視し、二次的に現れた症状のみをみて、鬱病が不安障害、適応障害等と診断名をつけ、薬のみを処方するとう事が続いています。

 鬱病の人が職場復帰をしても、75%の人が休職を再びするというデータがあります。

 上記のような対症療法では、同じ事を延々繰り返すのみのイタチごっことなる事は当然です。

 予測と結果の誤差により、体調が悪くなっている為、出来る事は2つです。

 予測能力を向上するか、予測した結果を出す能力を獲得するかです。

 

 私を消す技術は、あなたの勉強や仕事の成果を上げ、鬱病等の発症リスクを軽減させてくれます。