私は逃げた人間だ。逃げる勇気もなかった人間。逃がしてもらった人間。そんな人間を信用できると最強が言ったんだ。応えないわけにはいかない。応えられなければ、ここで死ぬ

 

 「なんで私なんですか?結界を張るだけなら、私より適任がいるはずです。」

 「‥マジで分かってねぇの?」

 「……?」

 「オマエが1番信用できる。そんだけだよ。」

 

 …私は逃げた人間だ。逃げる勇気もなかった人間。逃がしてもらった人間…

 …そんな人間を「信用できる」と最強が言ったんだ。応えないわけにはいかない。応えられなければ、ここで死ね…

 『呪術廻戦』伊地知と五条悟の会話、そして、伊地知の脳内言葉です。

 

 

 私達は、他者から心無い言葉を言われたり、悪口を言われたり、批判されたりすると、気持ちが落ち込みます。

 すると、私達の心はどうなるでしょうか?

 自分はつまらない人間であると感じるようになり、そんな自分に相応しいのは、魅力的ではない相手であると思うようになります。

 

 カンタベリー大学で、40人ずつの男女に、3人の異性(サクラ)とメールでやり取りを行うという実験を行いました。

 サクラは、誰に対しても「あなたの趣味は?」「あなたの1番好きな所は?」等というように同じ質問をしました。

 やり取りが終わった所で、サクラからの印象という結果が、各参加者に届きました。

 

 この結果も、実験者があらかじめ用意していたものです。

 ある人には「あなたとデートをしたくないです」と嫌な結果を伝え、ある人には「あなたとデートをしたいです。」と良い結果を伝えました。

 

 その後、参加者に、何人かの異性の写真とプロフィールを見せ「あなたがデートをしたい人を選んでください」と依頼しました。

 尚、この異性には、魅力的な人と魅力的ではない人を、入れておきました。

 

 

 すると、面白い現象が起こりました。

 実験の前半部分で、サクラの異性から拒否的な結果を知らされた人達は、デートしたい相手に、魅力的ではない異性を選択したのです。

 

 どうして、このような現象が生じるのでしょうか?

 私達は、他者から拒否されると、自尊心が傷つきます。

 自尊心が傷つき、自分はつまらない人間であると思うようになります。

 

 そして、そんな自分に釣り合うのは、魅力的でない人であると思うのです。

 

 私達は、自然と、自分に相応しい人、自分と釣り合う人を、恋人に選びます。

 この現象を釣り合い仮説と呼びます。

 

 恋人の理想を高く持った方が良いわけではありませんが、気持ちが落ち込んでいる時に、恋人を選ぶ事は避けた方がより良いパートナーを選択出来ます。

 

 

 …史上最強の術師。現代最強の術師。どちらが挑戦者となるかは、この一撃で決まる…

 …伊地知の張った結界により、宿儺は五条の初手を見誤る。五条の気配は察していても、その膨大な出力を直前まで感じとれていなかった…

 

 …史上最強の術師。現代最強の術師…

 「勘違いしてるみたいだから言っとくけど、そっちが挑戦者だから。」

 「クソガキが。」

 『呪術廻戦』解説と五条・宿儺の会話です。