私を頼るのは当然ーなのだけれど、もっと阿良々木君を頼ってあげて。羽川さんに頼られたらー彼、嬉しいだけだと思うから

 

 「家族はいなきゃいけないものではないけれど、いたら嬉しいものであるべきなんだ。私はそう思うよ。父親として。人は嫌なことがあれば、どんどん逃げていい。だけど、目を逸らしているだけでは逃げたことにはならない。困った時は、いつでも助けを求めればいい。公共の機関でもいいし、なんならひたぎでもいい。ーあいつはあれで、頼りになったりする。」

 「…はい。」

 

 「まったくその通りよ。」

 「私を頼るのは当然ーなのだけれど、もっと阿良々木くんを頼ってあげて。羽川さんに頼られたらー彼、嬉しいだけだと思うから。」

 『化物語』戦場ヶ原父と羽川翼、そして、戦場ヶ原ひたぎの言葉です。

 

 

 人に頼る。

 簡単なようで、実は難易度の高い、人に頼るという事が出来ずにいる事で、何て事のない些細な事も、勝手に自分の中で拗らせ、大きな問題へと発展してしまう事が多々あります。

 

 人に頼るのが苦手な心理として、下記の3つが挙げられます。

  ①断られるのが怖い

  ②弱い自分を見せたくない

  ③頼る事に罪悪感がある

 

 また、人に頼るのが苦手な原因として、下記の3つが挙げられます。

  ①幼少期の影響

  ②責任感が強い

  ③自分にも他人にも厳しい

 

 ①幼少期の影響として、長男・長女に生まれた人は、必然的に頼るよりも頼られる経験が多くなります。

 下の子が生まれるまでは、一人っ子で自分が世界の中心だったにも関わらず、ある日突然お兄ちゃん・お姉ちゃんになってしまいます。

 お兄ちゃん・お姉ちゃんとして、親と一緒に下の子に愛情を注ぐ立場となり、親を助ける場面も多いと思います。

 しかし、子どもの本心はいつでも「自分だけを見て」なのです。

 お兄ちゃん・お姉ちゃんとしての役割を求められる長男・長女は、頼るよりも頼られる存在になる事で、親に自分を見て貰えるようになります。

 その為、長男・長女は、人に頼る事が苦手な人が多い傾向にあります。

 

 ②責任感が強い人は、全ての物事を全て自分で背負おうとする傾向があります。

 もちろん、それは学校生活や仕事等においてプラスに働く事も多く、責任感の強さは誠実性とも比例する強みです。

 しかし、その大変さを誰よりも理解出来る責任感の強い人は、人に頼った場合、その相手にもその大変さや責任を背負わされる事になる事が申し訳なくて、頼る事を避ける傾向があります。

 

 ③自分にも相手にも厳しい人は、自分の力で解決する事を、自分自身に課している事が多いです。

 これは人に頼ってはいけないと強く思い込んでいます。

 他人に問題が生じても、手を貸すのではなく、自身で解決させる事がその人の成長に繋がると思い、無闇に手を貸しません。

 勉強や仕事等では、そのような判断が正解に近い場面も多々ありますが、全てにおいて、そのような判断をする必要はありません。

 また、家族や友達等の関係性においては、そのような判断が正解ではないような場面も多々あります。

 

 

 …友達のために死ねないのなら、私はその人を友達とは言わないーなんて阿良々木くんには言ったけれど、そんなのただの言葉だった…

 …あのモビールのように、命の意味から目を逸らして、知ろうとしなかったーだけだ。そうだね、せっかく…知ることがーできたのに。ようやく…知れたのに…

 「何もかも無理だった。無茶だった。無駄だった。」

 …助けて。阿良々木くん…

 『化物語』羽川翼の脳内言葉と言葉です。

 

 人に頼る事が出来ない人は「迷惑じゃないだろうか」「自分で解決しなきゃ」「これを言ったら相手はどう感じるだろうか」等、様々な物語を脳内で描きます。

 しかし、戦場ヶ原の言葉通り、自分が大切にしている人から頼られたら、ただ嬉しいものです。

 もっと気軽に、人に頼っていきましょう。